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answer ドイツ 鹵獲車両改修戦車 Pz.Kpfw. 35R 731(f) ・後編

テレワークで在宅勤務になったらスマートフォンを見る習慣がなくなってしまい、予定表も見ないもんだから歯医者の予約をすっぽかしまくってる筆者のお送りする世界のカードモデル最新情報。ほんとごめんなさい。次回から気をつけます。
今回も、前回に続きポーランドのブランド、answerからの新製品、ドイツ 鹵獲車両改修戦車 Pz.Kpfw. 35R 731(f)の紹介だ。

pzkpfw-35r-731f_1.jpg

この、フランス戦車ルノーR35にソビエト戦車T-26の円錐砲塔を載せたドイツ戦車、というわけわからん謎戦車についてだが、前回はこれが「フランス戦車を装備してた第7SS義勇山岳師団「プリンツ・オイゲン」が現地で保有車両を改修したんじゃね?」というところまで推測を勧めた。
しかし、この推測には重大な欠点がある。編成完了後、ずっとユーゴスラビアで対パルチザン戦を戦っていたプリンツ・オイゲン師団が、いつ、T-26砲塔を入手したのかという問題だ。

ユーゴスラビアには1944年にソビエト軍が進出し、プリンツ・オイゲン師団も44年9月からソビエト軍と交戦を行っている。しかし、いくらユーゴスラビアが激戦地でないとしても、1944年に赤軍がT-26(もしくはBT快速戦車)を装備しているだろうか。また、逆に、損耗したら修理できない鹵獲車両(R35)が、フランス戦から4年後の1944年まで生き残っていただろうか、というのも疑問だ。

しかし、ソビエト軍は緒戦で大損害を受けた旧式戦車の残余を後方に大量に控置しており、例えば1945年8月、満州に侵攻した極東軍ではヨーロッパから主力戦車の移動が間に合わなかったため、千数百両という大量のT-26が配備されていた。
なので、ユーゴスラビアに進出したソビエト軍は共にドイツと戦うユーゴ・パルチザンに旧式戦車(T-26)を供与、これがプリンツ・オイゲン師団に鹵獲される。鹵獲されたT-26は足回りに損傷があったために、砲塔に損傷して数年放置してあったR35の砲塔を換装して、T-26砲塔のルノー R35が誕生した、というシナリオも、まぁ、ありえないではない。

もちろん、プリンツ・オイゲン師団自身がソビエト軍と接触する以前に、東部戦線の最前線から鹵獲されたT-26がいらねーから、と後方へ送られ、プリンツ・オイゲン師団に配備された、という可能性もないこともないが、鹵獲戦車、特に旧式車両は前線で使い潰されてしまうことが多く、あまり可能性はなさそうだ。戦車なんてすぐに故障するものなんで、鹵獲兵器を少数後送しても戦力として再配置することは難しいだろう。
その方向で推測するなら、むしろプリンツ・オイゲン師団のようなションボリ義勇軍に配備するために前線からまとまった数の鹵獲車両がかき集められた可能性の方があり得る。

例えば、1944年3月に編成された第21SS武装山岳師団スカンデルベク(アルバニア人義勇兵部隊)は義勇兵部隊なのになぜか脱出者が続出するという怪奇現象が発生したために使い物にならず、ほとんどプリンツ・オイゲン師団の一部として扱われていた。このスカンデルベク部隊に戦線から後送されたT-26で編成された部隊があり、その車両から砲塔がプリンツ・オイゲン師団に渡った、というシナリだ。しかし、公式にはスカンデルベク部隊はイタリアのM15/42戦車を装備していたことになっており、資料的な裏付けはない。
資料的な裏付けがなくてもいいのなら、ルーマニア軍のR35をオデッサでソビエト軍が鹵獲し、余っていたT-26砲塔を搭載、オデッサ陥落時にそれがドイツ軍に再鹵獲された、なんてシナリオもあり得るだろう。

そもそもの話として、たった一枚しか存在しないこの車両の写真が、模型やCGをデジタル編集した「フェイク」という可能性はないだろうか。
と、いうのも、T-26の砲塔リングは径が大きく、そのままではR35の砲塔リングに収まらないからだ。
CGや模型なら、砲塔交換はホイホイだが、実車でこれをやろうと思ったら、車体上面を切断して、砲塔リングごと切り離したT-26の車体上面と交換するという大掛かりな改造が必要になってしまう。リベット結合のT-26側はともかく、鋳造成形のR35の車体上面を切り離すのはかなりの大仕事だったはずだ。

しかし、同様の疑問を抱いた戦史ファン達が解析に挑んでいるが、合成の跡や、不自然な箇所を見つけることはできず、写真は暫定的ながら「本物の可能性が高い」と判断されている。
砲塔リングについては、そもそもこの砲塔は旋回できず、車体に溶接されていたのではないか、という説もある。この場合、左右に射界が全く無い主砲は実質使い物にならないので、この車両はR35砲塔より大きい砲塔容積を利用した着弾観測用車両、もしくは無線機を積んだ(表紙画像にあるが、写真でも右フェンダー前部にアンテナのようなものが写っている)指揮車両ではないか、という推測が成り立つ。

結局のところ、果たしてこの車両は実在したのか、フェイクなのか、実在したのなら、いつ、どこに存在した車両なのか、現状では全くわかっていない。
今後謎は解かれるかもしれないし、永遠に謎かもしれない。

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展開図の見本。かなり強めの汚し表現が入っているようだ。R35の車体は鋳造で角が丸いため、細かい切れ込みを丸く仕上げる必要があり、車体の工作にはじっくりと取り組む必要がありそうだ。なお、完成見本写真はない。

answerからリリースされた謎のドイツ鹵獲車両改修戦車 Pz.Kpfw. 35R 731(f) は、陸モノ標準スケール25分の1でのリリース。難易度は、この難易度表示、読み方わかんないんだけど、0~4の 2.5 ? なの? そして、定価は55ポーランドズロチ(約1800円)となっている。
謎車両ファンのモデラーなら、このキットを机上に飾り、戦場ロマン・シリーズばりの数奇な由来を自分なりに構成してみるのもおもしろそうだ。

画像はanswerショップページからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。



参考ページ:
https://tanks-encyclopedia.com/ww2/nazi_germany/R35_mit_T26_Turm.php
その名の通り、黎明期から現代まで、あらゆる戦車の情報を集めた”Tank Encyclopedia”から、T-26砲塔のルノー R35についてのページ。車両についての考察などは、このページからの引用。
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