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GPM 米英共同 重戦車 MARK VIII "LIBERTY " 前編

去年の秋から続く歯の治療がやっと終わったと思ったら続けて次の歯の治療が始まって、まだしばらくは歯医者通いが続きそうな筆者のお送りする世界のカードモデル情報。本日紹介するのはポーランドの老舗、GPM社からリリースされた新キット、米英共同 重戦車 MARK VIII "LIBERTY "だ。

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やったぜ☆デカ戦車。
その薄らデカい図体で存在感はあるものの、存在感以外の価値は特にないためにこれまでキットに恵まれていなかったMARK VIII戦車がついにカードモデルに登場だ。
マーク8戦車(イギリス軍のマーク○表示は本来ローマ数字なのだが、I とか V とかたくさん書いてるうちに訳わからなくなりそうなので以降アラビア数字で表記)はその名前とパッと見で分かる通り、マーク1~マーク4までの菱形戦車のいわばメガ進化車両である。

1916年9月15日のソンムの戦いに始めて投入され、敵陣突破を成し遂げる力があることを証明したマーク1菱形戦車だったが、なにしろ世界で初めて実戦投入された戦車なのでトラブルも多く、初陣では60輌が投入される予定がそもそも11輌は故障で戦場へ辿り着けず、到着した49輌もほとんどが起動に失敗して出発できたのがたった18輌、それらも次々に故障で脱落して敵陣に到達できたのはわずか5輌という惨憺たる結果であった。

いくら新兵器が強力でも1割も敵陣に到着しないんじゃ話にならないんで、この状態をなんとかすべく機構を改善、さらにドイツ軍が野砲の水平撃ちで戦車に抵抗するようになったので装甲も強化し、菱形戦車はマーク2、マーク3と次々に改良型が登場する。
ちなみに菱形戦車には機銃装備の「雌型(female)」と6ポンド砲装備の「雄型(male)」があったが、雄型の6ポンド砲は砲員の配置の都合で正面へは車内から見て右側の1門しか指向できなかったそうだ。
あと、菱形戦車のカードモデルは以前にMODELIKからキットがリリースされていたが、現在はカタログ落ちしており入手は困難。また、このキットは古いModel Card時代の手書き展開図のデジタル改修版である。どうしても菱形戦車を手元に置きたいモデラーはタミヤ模型のプラモデル、マーク4を組み立てて、モータライズ走行するのを追いかけキャッキャウフフするのもいいだろう。

そのマーク4だが、当初の計画では車内の機構が一新される予定で、さらにその次のマーク5では外観まで進化した「スーパー菱形戦車」になる予定だったのだが、マーク4の目玉であった新操行システム(それまでの左右独立したエンジンを車長の指示でそれぞれのメカニックが操作するのではなく、1人操縦士が単一のエンジンからつながるトランスミッションを操作する)の開発が遅れ、マーク4は結局「ちょっとすごいマーク3」ぐらいにとどまり、「マーク5」の名称はこの新操行システムを搭載した戦車に割り振られ、玉突き式にスーパー菱形戦車は「マーク6」となった。

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Wikipediaからの引用で、マーク6戦車のモックアップ。
側面スポンソンは廃止され、車体前面に6ポンド砲を装備。車体上部には車長の視界を確保するための背が高い固定銃塔が設けられ、車体側面にも機銃を装備している。
どうも見た感じそれまでの菱形戦車よりもコンパクトにまとめようとしているようだ。

前述の通りマーク6はそれまでの菱形戦車から一新された車体デザインを狙っていたが、よく考えたらちょっと性能上げるために現在生産中のマーク5の生産設備を破棄するわけにはいかず、前線からの矢の催促に応えるためイギリスはマーク6の試作に向けられるリソースも全部マーク5の生産にぶっこんでしまったのでマーク6の開発は中断となっていた。

1917年4月、アメリカが第一次大戦に参戦する。
当時、アメリカはまだ本格的な戦争準備ができていなかったので兵器の保有数が絶望的に不足していたが、その工業力には目を見張るものがあった。
そこで、イギリスはアメリカの工業力でマーク6戦車をバンバン増産してもらって、一部をイギリス軍にもわけてもらうことを思いつく。アメリカでマーク6を新たに生産するのなら、イギリスでマーク5生産が停滞することもないという目論見だ。なるほど。

ところがマーク6の設計図を見せられたアメリカ軍関係者はあまりいい反応を示さなかったという。
どうやら、どうせ工場を建てて新型戦車を生産するのなら、思い切ってもっとパワーアップした超超ウルトラスーパーデラックス菱形戦車にしたほうがいいんじゃね? ということらしい。さすがアメリカ人の言うことは大味である。
アメリカ側からの、もっと車体も長く! デカく! 機銃も一杯! 乗員も一杯! といったアメリカンサイズな要望を聞かされているうちにどんどん仕様は巨大化して、最終的には長さ10.4メートル(マーク4:8メートル)、重さ38トン(マーク4:32トン)、乗員12人(マーク4:8人)、武装は6ポンド砲2門+機銃7丁(マーク4雄型:6ポンド砲2門+機銃3丁)、この車体を300馬力エンジンが時速8キロで走らせる(マーク4:100馬力時速6キロ)という、ド級の超絶スーパー戦車仕様が出来上がっていた。このように詳しい担当者がいない所でなんか勝手に話がデカくなっているのを専門用語で「顧客が本当に必要だったもの現象」という。

このアメリカンなノリに引きずられてノリノリになってしまったイギリス側はこの仕様を「マーク8」と名付ける(マーク7は液圧式の新規操行機構を想定していたが、やっぱり開発がうまくいかずに少数の試作に終わった)。
ついでに勢いでマーク6の資料は全部ゴミ箱にぶち込んだのでマーク6は図面さえ残されていない。

いつの間にか「アメリカで戦車をいっぱい生産してイギリス軍にも供与してもらう」という基本コンセプトも忘れられ、マーク8はアメリカでエンジン、トランスミッションを生産、イギリスで装甲板、武装を生産、最終組立をフランスで行うことになった(この国際性のためにマーク8は「インターナショナル」と呼称されることもある)。あー、なるほど、フランスで組み立てればアメリカから完成品を船積みしてフランスで陸揚げするための港湾能力を考慮しなくていいからね。
でもイギリスで新型戦車の装甲板作ったら、そのためにマーク5の装甲板生産が止まるでしょ、という件はどうなったんだ?
(後編に続く)



キット表紙画像はGPM公式サイトからの引用。

参考ページは後編にまとめて掲載予定。
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