MODELIK ソビエト海軍巡洋艦「Чкалов」

年末になってオリョール社の新製品がどっと出たので、オリョールの製品を集中的に紹介してしまおうかと思ったのだが、うっかりするとそれだけで年を越しそうだし、あそこの製品は日露戦争の艦船ばっかりで調べるのも大変なのじゃよ。
そんなわけで、今日は年末攻勢の新製品群の中からポーランドMODELIK社よりリリースされたソビエト海軍巡洋艦「Чкалов」を紹介する。

Chkalov1.jpg

戦後のソビエト艦艇なんか良くわからんって……これなら日露戦争のロシア海軍の方がまだマシだ。
いやいや、艦艇に貴賎なし、紹介者の好みで新製品の紹介に差がついてはいけない(河川砲艦とかをこれまでパスしてきたけどさ)。
気を取り直してネットで集めてきた情報を披露すると、Чкалов(「チュカロフ」、あるいは「チカロフ」)はソビエトが第二次大戦直前に計画し、17隻の大量建造が予定されていた巡洋艦「チャパエフ級」の1隻である。しかし、7隻の建造が開始された時点で独ソ戦が勃発、陸軍に物資を優先的に回すために水上艦艇の建造は中断されてしまう。さらに、建造中のチャパエフ級巡洋艦7隻のうち黒海沿岸のウクライナの造船所で建造されていた2隻は侵攻してきたドイツ軍に鹵獲され、やっぱり水上艦艇はいらないドイツ軍はこの2隻を解体してしまった。どうせなら無理やり完成させて「ドイツ黒海艦隊」を編成するという仮想戦記はどうか。あんまりおもしろくならなそうだ。
戦後、残った5隻は建造を再開、50年になって竣工した。39年の建造開始から実に11年だ。戦時中の中断を別にしても、長すぎないか?
そんな苦労をして完成させたものの、やっぱり旧式だったために58年には早くも各艦は練習艦となり、60年代には新型のミサイル巡洋艦が完成したために次々に廃艦となった中、なぜかチュカロフだけは名前を「コムソモレーツ」と変え80年まで練習艦として在籍、バルト海に面した国々を訪問している。
で、どうしてMODELIKはただでさえマイナーなチャパエフ級の中でもネームシップのチャパエフじゃなくてチュカロフをモデル化したんだろう? 艦船に関して困ったときはいつもお世話になっている近代世界艦船事典によると、チュカロフはポーランドを訪れたこともあるらしい。ええっ!? それだけの理由で!? でも、他に理由が思い当たらないので、たぶんそれだけの理由で。

MODELIK社はたいていはホワイトモデルやCGイメージで完成品の写真を載せてくれるのだが、今回はそれがないのでMODELIK社のサイトから拾ってきたマニュアルからの抜粋画像で我慢しよう。

Chkalov2.jpgChkalov3.jpg

ちなみに艦名の「チュカロフ」は無着陸でモスクワから北極圏を通過してアメリカまで飛行(飛行距離8千キロ以上)した経験もあるソビエト空軍のテストパイロット、バレリー・チュカロフに由来するものである。バレリー・チュカロフは38年12月、ポリカリポフの新型機I-180の事故で死亡してる。テストパイロットの名前が海軍艦艇につくというのもなかなか面白い。
なお、練習艦時代の艦名「コムソモレーツ」は、脇を走りぬけたスポーツカーの起こした風でハカマの翻った虚無僧が「Oh! モーレツ!」と言うシーンを思い浮かべがちだが、単なる「共産主義青年団」の略称だ。なーんだ。

そんなわけで日本人としてはどうでもいい感じのソビエト海軍巡洋艦「Чкалов」、スケールは艦艇の定番200分の1、定価は60ポーランドズロチ(約2000円)となっている。どうでもいい感じだが、いろいろ調べても模型の写真が出てこなかったのでチャパエフ級巡洋艦のモデルはこれが唯一のものだろう。たぶん。気の長いモデラーはこの年末に購入し、11年かけて2020年ごろに完成させてはどうだろうか。地味すぎて推薦文が思いつかねーよ。

写真はMODELIK社サイトから引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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