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Orel ロシア帝国装甲巡洋艦「Россия」

「カードモデル・2009年冬の陣」に取り残されないためと、自作コンテンツにあまり進展がなかったのをごまかすため新製品が続く。今日の新製品は前回に続きウクライナOrel社からロシア帝国装甲巡洋艦「Россия」だ。
どうも紹介記事の数とOrel社のリリース番号が合わないと思って確認したら「ロスチスラブ」「ワリャーグ」「コレーツ」の3艦をあっさりと紹介し忘れていたが、今は忙しいのでそのうち思い出したように紹介したい。
これまでに当コーナーでは旅順艦隊の「グラズダーニン」と「アスコルド」、バルチック艦隊の「ナヴァリーン」を紹介したが、日露戦争に参加したロシア艦隊としては小規模ながらウラジオストック艦隊の存在も忘れることはできない。ウラジオストック艦隊の主力艦は「ロシア」「グロモボイ」「リューリック」の三隻の装甲巡洋艦だが、三隻のうちでも旗艦であった「ロシア」がOrel社から満を持してのリリースとなった。

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毎度の事だが、まずは戦争絵画を思わせるOrel社特有の美しい絵画風表紙が目を引く。
「装甲巡洋艦」というのは、この時期特有の艦種であり馴染みが薄いが、前回紹介した「ナヴァリーン」が「重装甲、大火力で渡航性能が低かった」ことを思い出されたい。巡洋艦は読んで字のごとく渡航性能が重視されており、主力となる装甲艦に対し火力、装甲で劣るが速力、凌波性能に優れていた。したがって、主力艦との殴り合いでは一方的にやられてしまうが、速力を生かして戦闘を回避し敵の輸送船や小艦艇を攻撃するのが任務であった。
ウラジオストック艦隊の装甲巡洋艦三隻はこの任務を忠実に遂行、日本海はおろか東京湾近くにも姿を現したことがあるという神出鬼没ぶりを発揮、日本軍の輸送船を次々に撃沈した。このため大陸に派遣された日本軍は補給、増援を受け取る事が難しくなり、海軍は「出雲」「吾妻」「常磐」「磐手」4隻の装甲巡洋艦を主力とする第2艦隊を編成しウラジオストック艦隊に対抗しなければならなかった。しかし、第2艦隊は快速のウラジオストック艦隊を捕捉できずロシア艦の跳梁を許す第2艦隊司令官上村中将は憤慨した国民からの「無能」の罵りにじっと耐えなければならなかった。
1904年8月、陸軍が迫った旅順要塞からの旅順艦隊の脱出を支援するために出撃したウラジオストック艦隊を日本軍第2艦隊はついに捕捉、退避しようとするウラジオストック艦隊に追いすがりリューリックを撃沈、ロシアとグロモボイを大破させた(蔚山沖海戦)。ウィキペディアで、この海戦の後で撮影された戦闘の後も生々しい装甲巡洋艦ロシアの写真を見る事ができる。
大破したロシアとグロモボイは戦争終盤に修理を終え再度出撃したが特に戦果はなく、戦後バルト海に回航され再編されたバルチック艦隊に組み込まれた。装甲巡洋艦「ロシア」は最終的に1922年に解体されている。

この通り、これまでのロシア艦の紹介がなんともションボリしたものだったのに比べ今回のロシアは実に紹介のし甲斐がある。さらに今回はホワイトモデルながら、キットの写真まであるというOrel社の過剰サービスぶりが発揮された。

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見よ! これが紙で蘇った装甲巡洋艦「ロシア」の雄姿だ! 背景がどっかの(多分、デザイナーの)家の床なのはこの際無視すべし! 水面下に突き出た体当たり攻撃用の衝角、艦首喫水線の魚雷発射管などこの時代の大型艦艇の特徴が見事に再現されている。

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蒸気機関特有の長い煙突が4本、一直線に並ぶのもなかなかユニークだ。装甲艦に不釣合いな帆船のようなマストが立っているが、ロシアは帆走も可能だったそうだ。ほんとかね?
なお、この艦には大口径砲の旋回砲塔はなく、主砲は8インチ(203ミリ)単装砲8門である。

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救命ボートを吊り下げているロープ、対魚雷防御網展貼用の長い棒などの紙以外のマテリアルも精密感をぐっと引き立てている。これらの写真は今後のOrel社の艦艇モデルの購入を検討する際にも一つの指針となるだろう。
それにしても背景はどうにかならなかったものだろうか。このデザイナーの家がきれいに掃除されているという事は良く伝わってきたが。

そんなキレイ好きのデザイナーのデザインした素晴らしいロシア帝国海軍装甲巡洋艦「ロシア」、スケールはもちろん200分の1、定価は150ウクライナフリヴニャ(約1700円)と装甲艦「ナヴァーリン」より少し高いが、これは「ナヴァーリンなんて安くしておかないと誰も買わないけど、ロシアなら少しぐらい高くてもみんな買うだろ」というドギツイ商業主義の発露ではない。旧式とは言え旋回砲塔を備える主力艦であるナヴァーリンの方が、巡洋艦のロシアより大きそうな気がするが、実際にはロシアの方が大きい艦なのだ(ナヴァリーンが全長約110メートル排水量約1万トン、ロシアは全長約150メートル排水量約1万2千トン)。装甲艦がずんぐりしているのに対し、凌波性を考慮した巡洋艦の方がスラリと細長いカタチなのね。
プラモデルではなかなかリリースされる機会のない日露戦争時の装甲巡洋艦。日露戦争艦艇ファンのモデラーは装甲巡洋艦を捕捉できる、この数少ない機会を見逃すべきではないだろう。
ちなみに、GPMから「ロシア帝国海軍装甲巡洋艦リューリック」のキットが発売されているが、これはロシア、グロムボイと共に戦ったリューリックではなく、その名前を受け継いで1906年に建造された2代目なので間違えて一緒に並べてしまわないように気をつけたい。

写真はOrel社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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テーマ : 模型・プラモデル・フィギュア製作日記
ジャンル : 趣味・実用

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No title

なんとも迫力ある戦艦ですね。
毎度素晴らしい絵画タッチの表紙では、豪華客船に見えなくもないですが、海下に隠れる体当たり攻撃用の衝角にヤル気を感じます。
2次大戦の戦艦には無い魅力がこの時代には有るのですね。
のとっちょさんのお陰で2009年の終わりに新しい発見が出来ました。

Re: No title

たしかに、第二次大戦の艦艇を見慣れていると背の高い艦橋や旋回砲塔のない艦は軍艦に見えないですね。
しかし、一旦「これはこれでかっこいいかも」と思ってしまうとたちまちトリコに(笑)
将来、艦艇モデルに手を出す事があったら自分は真っ先にこの時代の艦艇をやってみたいと思っています。なにより、めちゃくちゃ大変そうな対空銃座の山を作らないで済みますし(笑)
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