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カードモデルで辿るリヒャルト・フォークト博士の軌跡 その2

先日、もう10年ぐらい行っていなかった近隣の模型屋(丸上模型竜ヶ崎店)に顔を出してみたところ、全然変わっていない昔ながらの模型屋のままで(でも店主に言わせると、ミリタリーはだいぶ減ったそうだ)なんだか嬉しくなった筆者のお送りする世界のカードモデル情報。あの店を経営してる御夫婦、わしが中学生のころから全然変わってないけどおいくつなんだろう……

前回はブローム・ウント・フォス(Blohm & Voss)造船所が新たに航空機部門を立ち上げるってんで、日本帰りのリヒャルト・フォークト(Richard Vogt)博士が設計士として招かれたってところまで。
このブローム・ウント・フォスの子会社、「ハンブルガー航空機製造社(Hamburger Flugzeugbau)」は1933年に設立され活動を開始する。
ハンブルガー航空機製造社は一応ブローム・ウント・フォスのとは別の会社だよ、ということになっていた(ブローム・ウント・フォス的にも航空機に手を出すのはギャンブルなんで、本業とは決算を切り離しておきたいとかの事情もあったのかもしれない)のだが、誰も「ハンブルガー航空機製造社」と呼んでくれずにみんな「ブローム・ウント・フォスの航空機部門」としか思ってないもんだから、結局は1937年9月から会社名を正式に「ブローム・ウント・フォス航空部門(Abteilung Flugzeugbau der Schiffswerft Blohm&Voss)」に変更になった(ここでは面倒なんでハンブルガー時代も社名は「ブローム・ウント・フォス」と表記する)。

フォークトが着任する前に、ブローム・ウント・フォスではハインケル社から引っこ抜かれた技師、ラインホルト・メーヴェス(Reinhold Mewes、水上偵察機He 60の設計者)がドイツ空軍練習機としてHa 135という、なんか普通な感じの複葉機をデザインしていたが、なんか普通なんで制式採用とはならなかった。Ha 135は2機が試作された後、4機をスポーツ機として一般向けに販売して生産終了する。

532px-Blohm__Voss_Ha_135_drawing.jpg

Wkipediaからの引用で、とっても普通な感じのHa 135。先にFw 44とかHe 72とか、似たような飛行機がすでに飛んでるので、まぁ、わざわざ生産するほどでもないかな、という航空省の気持ちもわかる。
Ha 135が空振った後、メーヴェスはブローム・ウント・フォスに将来性はないと思ったのかフィーゼラー社に移ってしまった。

メーヴェスがいなくなったブローム・ウント・フォスに着任したフォークトは、まず最初に高等練習機Ha 136というのを設計した。
これは全金属製で戦闘機に近い操縦性を持っており、練習機と戦闘機の間を埋める最後の仕上げの練習に使われるはずだったが、航空省に提出したら「よく考えたら、それって戦闘機でやればいいことに気がついた」と高等練習機そのものを否定され2機の制作に終わる。

しかし、ブローム・ウント・フォスとフォークトにはすぐにビッグ・チャンスが訪れる。ドイツ空軍の新世代急降下爆撃のトライアルである。というか、ブローム・ウント・フォスはこのトライアルに指名されていなかったが、勝手に試作機を作って参加することにした。
このトライアルは急降下爆撃好き好き大好きなエルンスト・ウーデットの発案によるもので、当初はアラド、ハインケル、ユンカースの3社が指名されていた。
と、いうのは建前で、実はユンカースの試作機(後のJu 87「スツーカ」)を気に入ったウーデットがすでにユンカースに先行量産100機を発注済で、トライアルの仕様書はこの試作機の性能に沿って書かれていたという超茶番トライアルであった。最初から結果の決まってるトライアルとか、それに勝手に参加するブローム・ウント・フォスとか、この空軍は大丈夫なのか。
まぁ、ウーデットって、第一次大戦のエースパイロットで、酒と女と飛行機が大好きっていうただの冒険野郎だからね。文句はそんな人に権力持たせちゃったゲーリングにどうぞ。

トライアルに参加した機体のうち、アラドのAr 81は、ウーデットが事前に「急降下爆撃機は複葉がいいよ」とウソ情報を垂れ込んだせいで密閉コクピットのスラリとした近代的な胴体に複葉という、わけのわからない機体となり、尾翼形状の調整などに手間取ったこともあり「ぶっはww なにこれ時代遅れwww」ということで不採用になった。ひどす。

次に、ハインケルのHe118は全金属製引き込み脚の近代的な機体だったが、あまり操縦性が良くない上に急降下が苦手で、ウーデットが試作機をテストした時に(この人、責任者なのに試作機のテストは自分でしないと気がすまなかった)、機体を急降下に入れたらプロペラが過回転でぶっ飛んで墜落、ウーデットはパラシュートで脱出したが危うく死ぬとこだったために無事開発終了となった。

Heinkel_He_118.jpg

これもWikipediaからの引用でHe118。確かに急降下爆撃機にしてはちょっと華奢な感じに見える。作っちゃった試作機は日本海軍に売却し、九八式軽爆撃機の参考となったとも言われているが、日本に渡った試作機の一機は急降下テスト中に空中分解事故を起こしており、やはり構造的に脆弱な部分があったようだ。

なお、ウーデットのテスト中に事故を起こした件については、ハインケルが事前に「50度以上の急降下はできないんで、やらないでください」と言っていたのにウーデットが垂直降下に入れたとか、いや、実はそのことを伝えようと思った日にリンドバーグがハインケル社に遊びに来てたんで話し込んでたら伝えるの忘れちゃったテヘペロ☆とか、いろいろハインケル側にも言い分があるようだが、そもそも急降下爆撃機が急降下しちゃダメって、すでに問題ありすぎだろう。

さて、生き残ったブローム・ウント・フォスの試作機、Ha 137だが、開放風防ながら全金属製固定脚の近代的な外観の機体で、主翼中央桁が箱型となっていて内部が燃料タンクになっているなど、新機軸も盛り込まれていた。

このHa 137は「Der Kampfflieger models」ブランドでカードモデル化されており、ZARKOV MODELSから購入することができる。
では知られざるフォークトの試作急降下爆撃機の姿を完成見本写真で見てみよう

image01_20191013150236b03.jpg image04.jpg image06.jpg

写真はZARKOV MODELSからの引用。
四角張って無骨なJu 87に比べて、柔らな感じのラインで構成されたHa 137のスタイルがよく分かる。
48分の1という、カードモデルとしては小さめのスケールなのでややディティールは少なめだが、デジタル販売なのでスケールアップ+ディティールアップを施し、Ju 87と並べるのも面白そうだ。定価はZARKOV MODELSで3.25ユーロ(約400円)。

商品直リン
http://zarkovmodels.com/en/?pid=695

いい感じのHa 137に航空省は興味を示し追加試作を命じたが、Ha 137はエンジンとの相性が悪く何度か換装と修正を行わなければならず、さらにウーデットから「急降下爆撃の仕様は複座に決定な。なんでかって? そりゃJu 87が複座だからさww」と伝えられ単座のHa 137は急降下爆撃機としては不採用となる。
それでも航空省からは「でも将来性はあると思うよ。近接支援機とかに使えないだろうかね?」としばらく試作継続を指示されたが、ウーデットが航空省技術局長になって新型機開発の全権を握ると「Ha 137? いらねーw」と決定して開発は終わった。ウーデット……(#^ω^)
(その3へ続く)

参考ページは最終回にまとめて掲載予定。
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