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駆逐艦 ORP Kujawiak 戦記 その5

開発室に泊まり込んでたらうっかり過労死ラインを超えてしまい、総務から「今死ぬと労災になっちゃうんで死ぬの禁止(意訳)」と言われた筆者のお送りするカードモデルに時々関係あるマイナー戦記。
中断しながらも続けてきた自由ポーランド海軍駆逐艦 ORP Kujawiak 戦記。肝心のクヤヴィアクは沈んでしまったが、マルタ島がその後どうなったのかをまとめて記事の締めとしよう。

ハープーン作戦でイギリス軍は駆逐艦2隻、商船4隻を失った(対する枢軸軍の損害は駆逐艦1隻損傷、航空機29機被撃墜)が、物資を届けるという目的を果たすことはできた。
しかし、2隻の貨物船が入港に成功したもののハープーン船団唯一のタンカーが失われたためにマルタ島の燃料事情は改善せず、航空隊の行動は限定されたままであった。さらにマルタ島は飲み水を海水の淡水化で得ており、このためにも燃料を必要としていたので燃料の枯渇は文字通りマルタ島の生死に関わる大問題であった。

そこでイギリス軍はさらに大規模な輸送作戦を実施する。
今度の「ペデスタル作戦(Operation Pedestal)」では対ソ輸送船団の戦いが一息ついたために本国から護衛戦力が派遣され、戦艦2隻(ネルソンロドネイ)、空母3隻(ヴィクトリアスイーグルインドミタブル)、軽巡7隻、駆逐艦26隻の大艦隊が一気にマルタを目指した(ただし、軽巡4隻、駆逐艦11隻意外は途中で離脱する)。

この作戦は1942年8月3日に実施され、15日まで繰り広げられた空と海の戦いで14隻の商船のうち、9隻が沈没。さらにこれまで地中海の貴重な航空戦力として戦ってきた空母イーグルが沈没(U-73の魚雷4本中3本を左舷機関区に受け、8分後に沈没した)するなどの大損害を蒙りながらも、ペデスタル船団はマルタ島へ到達する。特に、船団中唯一のタンカーであるSS オハイオがマルタに到達できたのは大きかった。

SS-Ohio_supported.jpg

Wikipediaからの引用で、ペデスタル作戦でマルタに到着したSS オハイオ。オハイオはイタリア軍潜水艦Axumから発射された魚雷1発が命中、さらに多数の至近弾からの破片を浴び、撃墜したユンカースJu88が甲板に激突(爆弾投下前だったが、不発だった)するなどで自力航行能力を失い、曳航されてマルタに到達した。写真でも甲板が水没寸前になっていることがわかる。
なんだか船首が上に反り返っているように見えるが、これはすでに竜骨が折れているからで、この後、積んでいた燃料を汲み出している最中に船体が折れて沈没した。

SS オハイオが運んだ約1万トンの燃料でマルタ島は息を吹き返し、イギリス軍の航空攻撃も再び勢いを取り戻した。42年10月には枢軸軍が発送した約8万4千トンのうち到着したのは約4万7千トンとなり、この損害で物資、燃料の不足した枢軸軍は同月始まったエル・アラメインの戦いで連合軍の攻撃を受け止めきれずに敗退する。さらに11月には「トーチ作戦」でアメリカ軍が北アフリカに上陸。
12月にはさらなる輸送作戦、ポートカリス作戦(Operation Portcullis)で約5万8千トンの物資がマルタ島に到着し、戦いの帰趨は決した。
1943年7月、連合軍はシシリー島に上陸。7月20日が枢軸軍のマルタ島に対する最後の空襲となった。1940年6月11日の最初の空襲以来、実に3340回目の警報だったという。

最後に、クヤヴィアクと一緒にポーランド海軍に供与されたもう2隻のハント II 級護衛駆逐艦について。

ORP クラクビアック(Krakowiak)は北海での船団護衛をこなした後にシシリー島上陸作戦にも参加。大戦を生き延びたが戦後、東側に組み込まれたポーランドへの支援をイギリスが打ち切ったのに伴い1946年、ポーランド海軍からイギリスに返還され、もとの名前である「HMS Silverton」へと戻された。しかし、予備艦艇としてほとんど停泊したまま1959年に廃艦となり解体された。

ORP シュラザック(Ślązak)はディエップ上陸作戦に参加し、孤立したカナダ軍兵士を救出している。クラクビアック同様に1946年にイギリスに返還されたが1952年にインド海軍に供与され INS ゴダヴァリ(Godavari)となる。その後はインド海軍で訓練船となっていたが1976年にモルディブ沖で挫傷し損傷、修理不能と判断され1979年に解体された。

嬉しいことに、この2隻のキットがGPMのクヤヴィアクを追いかけるようにポーランドWAK社から発売となった。

wak1810.jpg wak1901.jpg

キットは両方とも海モノ標準スケール200分の1でのリリース。難易度は5段階評価での「3」(普通)、定価はそれぞれ39ポーランドズロチ(約約1300円)となっている。
ポーランド海軍ファンのモデラーなら、ポーランド海軍に在籍したハント II 級駆逐艦3隻を一気に揃えられるこの機会を見逃すべきではないだろう。クヤヴィアクだけ100分の1だから並べることができないなんてのは些細な問題なので忘れるのがいいだろう。
キット表紙写真はWAK公式ショップページからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。



参考ページ:
https://en.wikipedia.org/wiki/Siege_of_Malta_(World_War_II)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハープーン作戦
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴィガラス作戦
https://ja.wikipedia.org/wiki/ペデスタル作戦
https://en.wikipedia.org/wiki/ORP_Kujawiak_(L72)
https://en.wikipedia.org/wiki/ORP_Krakowiak_(L115)
https://en.wikipedia.org/wiki/ORP_Ślązak_(L26)

それぞれの日本語、英語、ポーランド語ページを参考とした。

*お知らせ
来週11日、12日は今年も紙模型静岡工場主幹、ナオさんのお招きに応じて静岡ホビーショー併設、第30回モデラーズクラブ合同作品展に参加させていただきますため、更新はできても一言程度になると思われます。あらかじめご了承ください。
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