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John Dell Models アメリカ重爆撃機 B-17G "Wee Willie"

いよいよ第57回静岡ホビーショーも目前。本年も併設のモデラーズクラブ合同作品展に紙模型静岡工場管理人のナオさんよりお誘いを頂き、うれし恥ずかし、またも凝りずにT-26を集団で持ち込む予定でどうもすみませんな筆者がお送りする世界のカードモデル最新情報。今回紹介するのは世界中のカードモデルデザイナーの作品を売り買いできる、21世紀型カードモデルショップEcardmodelsでリリースとなった新製品、John Dell Modelsのアメリカ重爆撃機 B-17G "Wee Willie"を紹介しよう。

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機体そのものは説明するまでもない、超有名機。"Wee Willie"というのはこの機体のパーソナルネームで、機首に半裸に短パン飛行帽で爆弾に乗っているキャラクターのノーズアートが書かれている。

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実機のノーズアート拡大写真で、Imperial War Museumsの一部門、第二次大戦でイギリス本土に展開していたアメリカ第8空軍の資料が集められたAmerican Air Museumからの引用。
もとのタッチがかなり淡い絵だったようで、残念ながらこの写真ではWee Willieの絵は細部が飛んでしまってディティールが判然としない。また、乗っかっている爆弾にも何か文字が書いてあるようだ。腰にもダイナマイトだかロウソクだか体温計だかを提げているが、こちらもハッキリしない。
なお、遂行ミッション回数を表す爆弾マークは4つしかなく、操縦席窓の下までズラリと爆弾マークが並んでいるキットテクスチャとは差異があるが、別にキットがフカシまくってるわけではなく、この写真がまだ4回しかミッションこなしていないころに撮られたものだからだ。また、爆撃手席のノルデン照準器は機密保持のために外してあるか、もしくは写真修正で消されている。

「Wee Willie」は婦人靴のブランドで同名のものがあるが、ノーズアートのキャラが履いてるブーツが実はWee Willieブランドの靴とか、そういうことじゃないと思うがあんまり自信はない(検索したが靴のWee Willieブランドの由来がわからなかった)。
マザー・グースの童謡に「Wee Willie Winkie」というのがあり、夜遅くになるとパジャマ姿のウィー・ウィリー・ウィンキーがやってきて鍵穴から「寝てないゴはいねぇガー!」と叫ぶという、お前がうるさくて眠れねぇーよと言いたくなる内容らしいのだが、ウィー・ウィリー・ウィンキーは「Willie Winkie」と略されることが多い(歌の中でもそう呼ばれている)ので、このノーズアートとの関連性はわからない。そもそもノーズアートのキャラはパジャマを着ているようには見えない。

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今回は機体の説明がないので写真多め。Ecardmodelsの商品ページから完成見本写真。
カードモデルとしては小さめの48分の1スケール、機内再現もなしでディティールよりもスタイルを楽しむ内容となっているが、その分ハードな汚しの入ったテクスチャが素晴らしい。各動翼のトリムタブ部分だけ色が異なっているあたり、作者のこだわりを感じる。

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さながら編隊僚機から見下ろしたかのような、上からのショット。右主翼内側のエンジンだけ他のエンジンとカウルフラップの色が異なっているが、なにか資料に基づいた表現なのだろうか。

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機首部分にクローズアップ。残念ながら部品分割の都合でWee Willieが縦に真っ二つになってしまっているので、気になるようならデジタル展開図の利点を生かし、つなぎ合わせたWee Willieを別紙に印刷してデカールのように上から貼るのもいいだろう。窓類も切り抜いて内側から張り直して段差をつけるなど、腕に覚えのあるモデラーなら自分なりのディティールアップを施すのも一つの楽しみ方だ。

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また、キットにはスケールを合わせた搭乗員のパネル、弾薬箱、燃料缶などのアクセサリー、あと猫のパネルなどのオマケが同梱されているらしい。これらと組み合わせ地上に駐機状態のジオラマとして作品展示するのもいいだろう。

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ちょっと珍しい部品構成写真。こうやって見ると、機体主要部がかなり少ない部品で構成さてていることがわかる。しかし、逆に言えば補強をしっかりしないと自重で歪んだり、持って遊んでるうちに潰してしまいかねないので要注意だ。

作者のJohn Dell氏の情報はほとんどないが、大型機のキット化に力を入れているようだ。B-17だけでもノーズアート違いはもちろんのこと、G型以外の各タイプもキット化している。

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背びれの無い小型の垂直尾翼、球形銃塔になる前のバスタブ型下部銃座など戦前の機体の特徴をよく残しているC型「パール・ハーバー」。

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同じく大改修前のD型。完成写真では涙滴型胴体銃座窓もよく分かる。塗装はギンギンベアメタルに紅白尾翼、白棒無し国籍マークの戦前平時塗装だが、残念ながらベアメタル塗装だけは印刷では再現できない。これはカードモデル永遠の課題となるだろう。

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尾翼の大型化されたE型ではまさかの日本軍鹵獲機までリリースされている。
他にもJohn Dell氏はB-24リベレーターも各種キット化しており、大型機ファンにとっては要注目のデザイナーと言えるだろう。

さて、John Dell氏の作品について簡単に説明してから、話は表題のWee Willieへ戻る。
B-17G機体番号42-31333 愛称"Wee Willie"は実は有名な機体である。その名前を聞いたことがない読者でも、どこかでこの写真を見たことはあるだろう。

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American Air Museumからの引用で、Wee Willieの最期。
ワシントン州シアトルのボーイング第二工場で1943年10月22日にロールアウトしたこの機は2ヶ月後にイギリス ケンブリッジシャーのバッシングボーン飛行場に到着、アメリカ第8空軍第1航空師団第91爆撃航空群、第322爆撃飛行隊の1機として行動を開始。1944年2月初頭、ヴィルヘルムスハーフェン爆撃の際に損傷を受け約1ヶ月を修理に要したものの順調に出撃回数を重ねていた。
1945年4月8日、Wee Willieは129回目のミッションに参加する。目標はザクセン=アンハルト州、シュテンダールにあった機関車修理工場。雲が多い中、爆撃隊はH2S爆撃照準レーダーで目標を探しながら飛んでいた。
対空砲火は激しくはなかったが、そのうちの一発がWee Willieの胴体脇、左主翼付け根燃料タンクを直撃した。

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American Air Museumからの引用で、僚機から撮影された被弾直後のWee Willie。
胴体が炎に包まれており、わかりにくいが写真左中央辺りに折れた左主翼の先端が写っている。
機体は落下しながらスピンに入り、地上に激突する前に空中分解したという。
Wee Willieには9人の乗員が乗っており、8人は戦死したが驚くべきことに操縦士のRobert E. Fuller中尉は機体からの脱出に成功し、捕虜になっている。
この一ヶ月後、ドイツが降伏しヨーロッパでの戦争は終わった。

なお、左主翼が外れた写真は時々「Me-262ジェット戦闘機に撃墜されたB-17」のキャプションで引用されることがあるが、この写真の撮影された4日前、4月4日にB-24 44-50838 がMe-262の発射したR4Mロケット弾の直撃を受けて胴体が千切れた写真が残っており、どうやらそちらと混同されているようだ。
また、オリジナルの写真には「尾部銃座射手だけが生き残った」と書かれているらしいが、前述の通り脱出できたのはパイロットである。

ドイツ上空における航空戦がいかに熾烈なものであったか、またいかに恐ろしいものであったかを物語る写真を残したアメリカ重爆撃機 B-17G "Wee Willie"。John Dell Models のキットはお手頃サイズ48分の1で完成全幅約66センチメートルなので、GPMの33分の1B-17(完成全幅約96センチ)を買っちゃって、こんなんどこで作りゃいいんだと頭を抱えているモデラーにもオススメだ。筆者も以前にモノグラムのB-17(48分の1)をうっかり買ってしまった時は、こんなんどこで作りゃいいんだと頭を抱えたもんだが、ペーパークラフトだとなんとかなりそうな気がしてくるのだから不思議なものだ。
難易度は表紙の表記では5段階表記の「4」(難しい)となっているが、筆者の印象では「3」(普通)といったところではないだろうか。販売形態はダウンロードのみで定価は8ドル。
4発爆撃機を精力的にモデル化しているJohn Dell氏、次は何をキット化するのだろうか。B-24、B-17と来たら、やはり順当にB-29(48分の1で完成全幅約90センチ)だろうか。氏にはいっそのこと、そのままの勢いでB-36(48分の1で完成全幅約146センチ)のキット化まで突き進んでほしいものである。

キット画像はEcardmodelsからの引用。

https://www.ecardmodels.com/index.php/1-48-boeing-b-17g-flying-fortress-wee-willie-paper-model.html
商品直リン



参考ページ:
http://www.americanairmuseum.com/aircraft/5418
American Air Museum、"Wee Willie"のページ。

https://www.thisdayinaviation.com/8-april-1945/
各日付ごとに航空界での重要出来事をピックアップしているサイトから1945年4月8日のページ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウィー・ウィリー・ウィンキー

*来週は第57回静岡ホビーショー併設モデラーズクラブ合同作品展参加のため、更新休止させていただきます
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