Heinkel Models アメリカ装甲艦 USS Lafayette(後編)

先日開発室にカンヅメになった時に、朝食として「ジャンボどら焼き」を食べたらこれがまたヘビーで、いよいよ寄る年波を思い知らされた筆者がお送りする世界のカードモデル最新情報。
今回もアメリカ装甲艦 USS Lafayette、いよいよ北軍のヴィックスバーグの突破作戦が始まるというクライマックスからのスタート。

1863年4月16日。北軍ミシシッピ艦隊のラファイエットを含む装甲艦7隻は増加装甲として丸太と濡らした干し草の束を船体に積み上げ、空の輸送船3隻と共にヴィックスバーグへと接近しつつあった。北軍による突破作戦の開始である。
当初はできるだけ物音を立てず、できれば気付かれずにヴィックスバーグの前を通過するつもりだったが、もちろんそんなことはできずに北軍艦隊はただちに発見された。
たちまち川岸に無数のかがり火が焚かれ、照らし出された艦隊にヴィックスバーグ砲台からの集中砲火が始まる。
砲弾が次々に飛来する中、冷静に戦況を見ていたミシッピ艦隊司令官デイビッド・ディクソン・ポーターは南軍砲台の砲弾が北軍艦隊の高い位置にばかり命中していることに気がついた。ポーターは川幅の広いミシシッピ川で少しでも砲台から距離を取ろうとする艦隊に、逆に砲台へ突っ込み東岸沿いに航行することを命令する。
この判断は正しかった。高い位置からミシシッピ川を見下ろすヴィックスバーグ砲台は、その足元が死角となっていたのだ。
北軍ミシシッピ艦隊は2時間半かけてヴィックスバーグ砲台の前を通過、全艦が下流への突破に成功した。
ラファイエットはこの戦いで少なくとも砲弾9発が船内に飛び込み、曳航していた輸送用のハシケは撃沈されていたが大きな損傷は被っておらず、またしても装甲艦の堅牢さを証明することとなった。
22日にはさらに6隻が砲台を突破、北軍艦隊は着実にミシシッピ川下流を制圧しつつあった。

ミシシッピ川を北上してきたファラガット提督の艦隊と合流したミシシッピ艦隊は集中砲火で南軍の小砲台を一つづつ潰していき、陸軍は次々にミシシッピ川を越えてミシシッピ州内へと前進していく。
ポーターは海軍長官ギデオン・ウェルズに「海軍はヴィックスバーグへの入り口を保持してる」と書き送った。
5月、ヴィックスバーグ東方のミシシッピ州州都、ジャクソンを北軍が占領。ヴィックスバーグは孤立する。
追い詰められた南軍はヴィックスバーグでよく戦ったが、すでに命運は決していた。
東からは陸軍の野砲が、西からはミシシッピ艦隊の艦砲が昼夜を分かたず砲撃を続け、食糧が尽き救援の見込みもなくなったヴィックスバーグは1863年7月4日、ついに降伏した。南北戦争開戦から2年、ついに北軍のアナコンダはヴィックスバーグを飲み込み包囲を完成させたのである。
この戦いでは南軍兵士3万が捕虜となった。市街への砲撃は激しかったが、まだ榴弾が実用化される前だったために市民の死傷者は意外なほど少なかったという。
ちなみに7月4日はアメリカの独立記念日だが、ヴィックスバーグではこの敗北のために長らく独立記念日を祝うことがなかった、という伝説があるが、これはやや誇張されたものらしい。

ヴィックスバーグが降伏する前日、1863年7月3日に東海岸では南軍の猛将、ロバート・E・リーの北部侵攻軍がゲティスバーグで北軍と激突し大損害を被っていた。この手痛い敗北により南軍は一気に北軍首都ワシントンを突く決戦を行うことが不可能となった。そして、西部ではアナコンダが物流を遮断し南部の経済を長期的に破綻させつつあった。
ヴィックスバーグとゲティスバーグ。1863年7月のこの2つの敗北によって南軍勝利の可能性は潰え去ったのである。

ミシシッピ川制圧後、ミシシッピ艦隊はフランスのナポレオン三世が送った義勇軍とメキシコ軍が攻めてくるのを防ぐために、その足がかりとなるテキサス州を包囲する「レッド川作戦」に参加したが、その時はミシシッピ川の支流レッド川の水位が低かった上に南軍は上流に関を築いてレッド川へ流れ込む水の量を制限したために艦隊は身動きがとれず、大した活躍もないままにミシシッピ川へと帰還した。レッド川作戦はほとんど成果を上げずに失敗に終わり、そもそもフランスが義勇軍を送ったとか、メキシコ軍が攻めてくるとか、そういうのが全部ただの噂だった。
外洋には出られない河川砲艦からなるミシシッピ艦隊はその後は川を渡ろうとする南軍がいないか見張る以外には別段やることもなく、そのまま1865年5月に南北戦争は北軍の勝利で終わった。
戦後、だぶついた軍艦が整理されることとなりラファイエットは1865年7月23日に除籍となった。しばらく、そのままニューオリンズに係留されていたが、もとの貨客船に逆改造しようにも取っ払った上部建造物を全部作り直すのなら、いっそ使える部品を使って新しい船を建造したほうが早いということで最終的に1866年年3月28日、ラファイエットはスクラップとして売却された。

hnkl_uss_lafayette_1200_sample3.jpg hnkl_uss_lafayette_1200_sample1.jpg hnkl_uss_lafayette_1200_sample2.jpg

ラファイエットの展開図、組み立て説明書サンプル。甲板などの木目表現はされているが全体的にはあっさりしたテクスチャ表現のようだ。手間をかけられるなら、装甲板一枚づつに調子をつけて質感をアップしてみるのもいいだろう。

Heinkel Modelsからリリースされた、アメリカ南北戦争の勝敗を決したミシシッピ川の戦いに参加した装甲艦「ラファイエット」は海モノ標準スケール200分の1で完成全長約43センチ。艦底付きのフルハルモデルとウォーターラインモデルの選択式で定価は13.75ドル。
Heinkel Modelsは以前にもミシシッピ艦隊の装甲艦”USS Choctaw”もリリースしている。

hnkl_usschoctaw_cover.jpg

ラファイエットと同様に、他の惑星からふらっとミシシッピ川に遊びにきたようなチョクトーは定価8.75ドル。ミシシッピ艦隊ファンのモデラーなら、是非とも2隻とも購入し机上にミシシッピ艦隊の勇姿を蘇らせたいところだ。



写真はecardmodelsから引用。

参考ページ:
https://en.wikipedia.org/wiki/USS_Lafayette_(1848)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ビックスバーグ方面作戦
https://ja.wikipedia.org/wiki/ビックスバーグの包囲戦
https://ja.wikipedia.org/wiki/デイビッド・ディクソン・ポーター
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウィンフィールド・スコット
それぞれの英語版も参考とした。

https://www.militaryfactory.com/ships/detail.asp?ship_id=USS-Lafayette-1863
古今東西、ありとあらゆる武器の情報まとめサイトからラファイエットのページ。
スポンサーサイト

テーマ : 模型・プラモデル・フィギュア製作日記
ジャンル : 趣味・実用

コメントの投稿

非公開コメント

展開図公開中
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

のとっちょ

Author:のとっちょ
カードモデル初心者が苦闘するさまをご覧あれ。

検索フォーム
リンク(順不同、敬称略)
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード