Heinkel Models アメリカ装甲艦 USS Lafayette(中編)

この一週間ほどで歯の詰め物が取れたかと思ったら、全然関係ない歯が突然欠けて、ついでに扇風機の電源が入らなくなり、さらにモバイルルーターの電源まで入らなくなってほとほと困り果てた筆者のお送りする世界のカードモデル情報。ツイてない時ってのは重なるもんだ。
今回は前回に続きアメリカ装甲艦 USS Lafayette。話は北軍がニューオリンズを攻め落とした続きから。

1862年夏、北軍はミシシッピ川河口部のニューオリンズを占領、大西洋からメキシコ湾に至る南部諸州の海岸線全域の封鎖を完了した。
しかし北軍はミシシッピ川下流に有力な河川艦隊を持たず、南部の商人達は北軍舟艇が少ない地域でミシッピ川を越えて行き来しており、これを塞がなければ「アナコンダのように南部を締め上げ、その国力を削ぐ」という北軍基本方針の達成はできない(当時の陸軍の規模では陸上を封鎖することは難しい)。
これをどうにかしようとミシシッピ川上流、北部州で建造した艦隊を下流に持ってこようとした北軍の前に立ちはだかったのが、ミシシッピ州のヴィックスバーグ要塞の砲列であった。
リンカーン大統領もこの状況を憂慮しており、「我々はヴィックスバーグという鍵をポッケトに入れることができなければ、この戦争に勝利することはできない」と書き残している。

1862年の夏から秋にかけて、北軍は各方面からミシシッピ州を攻略しようといろいろと試したが、まぁいろいろ、って言ってもまだ爆撃とか超長距離砲とかない時代なんで、結局は「ちょっと変わった方から攻撃する」って程度で、防備を固めた南軍は一歩も引かなかった。
試行錯誤の末、アメリカ合衆国(北軍)司令官ユリシーズ・グラントは1862年の秋に新たな方針を立案する。
それは、上流にいるミシシッピ艦隊の一部にヴィックスバーグの眼前を強行突破させ、下流にミシシッピ艦隊別働隊を編成するというものだった。
北軍が下流に河川艦隊を保有すれば、北軍は下流で自由にミシッピ川を渡ることができるようになり、現在は比較的手薄なミシシッピ州南部からも侵攻できる。
そもそもミシシッピ川を制圧すればアナコンダプランは完成したも同然で、ミシシッピ州、ヴィックスバーグ要塞の戦略的価値そのものが大きく低下するので、ぶっちゃけ放っておいても構わなくなる。

1862年秋、ミシシッピ川上流セントルイスで要塞突破艦隊の建造が始まった。
とは言っても、一から新しい船を建造するわけではない。開戦と同時に北軍はミシシッピ川を航行する多くの汽船を徴用して兵員や物資の輸送に利用していたが、そのうちの何隻かを1862年の春にハンプトン・ローズの戦いでその防御力の高さを認められた装甲艦に改造するのである。
そんなわけで徴用船舶の中の一隻、「フォート・ヘンリー」も装甲艦に改造されることとなった。
ヘンリー・フォートはもともと1848年に建造された外輪汽船で、徴用前の名前はアレック・スコット(Aleck Scott)だった(資料によってはアリック・スコット(Alick Scott)になっている)。「ミシシッピ川の外輪船」というと、船尾で大型のドラム型外輪がバタバタ回ってる船を想像しがちだが、フォート・ヘンリーは舷側型。なので頭の中で観光用のミシシッピ川船尾型外輪船のお尻を普通の船に変更して、舷側に日本に来た「黒船」みたいな車輪型外輪を取り付ければだいたい、フォート・ヘンリーの姿となる。
さて、それを装甲するとどうなるか。
こうなる。

hnkl_uss_lafayette_1200_1.jpg hnkl_uss_lafayette_1200_2.jpg

なんだこりゃ
なんというか、「船」というものの形を超越した何かになっている。宇宙戦艦か、これは。
いや、外輪もカバーしなきゃいけないし、重量を抑えるために上部建造物は絞らなきゃいけないし、言いたいことはわかるんだ。決して理解不能じゃないんだ。それにしてもこれはなんとも画期的なスタイルで……

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この、船体から外輪カバーに繋がる線をこんなきれいな曲線にする必要はあったのか。艦首と艦尾の天井部分を凝った2段テーパーにしてる必然性もよくわからない。外輪カバーの上にある囲みは舷側方向を監視するための設備だろう。装甲バードウォッチング小屋みたいな監視塔も、もうちょっとなんとかならなかったんだろうか感に溢れていて素晴らしい。

装甲艦となったフォート・ヘンリーは独立戦争でアメリカのために駆けつけてくれたフランス軍人、マリー=ジョゼフ・ポール・イヴ・ロシュ・ジルベール・デュ・モティエ、すなわちラファイエット侯爵から名前を頂戴して「ラファイエット」に名前が変更された。
ラファイエットは見た目はイカツイが水深の浅いミシシッピ川で運用するので全長85メートル、排水量1200トンとそれほど大きい船ではない。南軍の装甲艦「バージニア」が全長84メートル排水量約3000トンだから、それに比べると装甲はかなり薄かったようだ。
武装は艦首方向に28センチダールグレン前装滑腔砲2門、舷側に23センチダールグレン前装滑腔砲4門、あと、後ろ向きに100ポンド(口径約16センチ)パロット砲2門。パロット砲というのは極初期のライフル砲(前装)で、砲尾部分に分厚く鉄のベルトを巻いて補強しているのが外見上の特徴だが、せっかく補強したのに砲尾が破裂することが多く兵士には嫌われていたらしい。
砲の数がキットと合わないが、本当は舷側の4門は艦内で向きを変えて左右どちらかに突き出すようになっていたんだろうか。
速力は最初っから期待できない外輪船な上に装甲までしちゃったんで最高4ノット(時速約7.4キロ)しか出ない。
この速力で、装甲を頼みにヴィックスバーグ砲台の射界内をのっそりとダッシュで突破しようという作戦だ。

(後編に続く)

参考ページは後編にまとめて記載予定。
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