E63papermodel イタリア 列車砲 Cannone da 381/40 su affusto ferroviario

父が「重すぎるから」という理由でデジタルカメラを譲ってくれたのだが、どんな性能じゃいと試すのに自宅の頭上を通り過ぎるヘリを気が向いた時にパシャパシャと撮っているうちに、移動中の陸上自衛隊AH-1攻撃ヘリの写真が撮れてなんかご機嫌な筆者のお送りする世界のカードモデル情報。

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こんな感じ。偶然一緒に写り込んだのはルフトハンザのボーイング747(多分)。ちなみにカメラの性能は後で確認したら光学ズーム24倍でした。目の前の模型しか撮らないのに。

さて、前回の記事、イタリア海軍のモニター艦"FAA DI BRUNO"で「陸軍が7門の38センチ砲を列車砲に改造している」とサラっと書いたが、今回はこれについての補足を。
第一次大戦のイタリアの列車砲なんて、大した情報出てこないだろうと思ったら、なんとこいつキット化されている。

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この、ドマイナーなアイテムを堂々キット化したのはイタリアのデザイナー、Enrico Crespi氏。表紙(上画像)左上の赤四角の中に「E」の字が世界のカードモデルデザイナー達の発表/販売を請け負っているEcardmodelsを連想させるが、氏は自身のページ"E63papermodel"でのみ作品の発表を行っておりロゴの類似にはあまり意味はないものと思われる。なお、「E63」の「E」はもちろん氏の名前 Enrico の頭文字だと思われるが、「63」については特に説明がない。あるいは1963年生まれを意味しているのかも知れない。
実はこのキットは2015年末ごろに公開されたことを知っていたのだが、資料が集まらずに紹介を先送りにしていた。ところが、先日38センチ砲の列車砲化について確認していたところ、第一次大戦でイタリアはこの38センチ砲しか列車砲化していないということが判明し、あわてて追加情報として紹介させていただく次第。

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今回は実車の資料があんまりないので、キットの完成見本写真が多いのをいいことに写真メインで進めていこう。
このキットは陸モノながらいつもの25分の1ではなく、いわゆる「タミヤスケール」である35分の1という、カードモデルではやや小さめのスケールでのキット化だが、さすが38センチの迫力は全く失われていない。
完成見本は白模型だが、当キットは未着色のラインのみの展開図での提供となっており、そのまま組み立てるとこのような仕上がりとなる(リベットなどのテクスチャはライン表現だが、写真ではディティールアップされている)。

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砲尾方向から。細かい部分の作り込みもかなりのものであることがわかる。38センチ列車砲は、装填作業スペースにわざわざ屋根があるのが特徴。
イタリアは第一次大戦参戦時、野戦重砲をおよそ150門装備していたが列車砲は一門も保有していなかった。
しかし、フランス軍が運用していた34センチ列車砲の威力を見て列車砲の有効性に気付かされる。ちなみにこの列車砲(34センチ45口径砲)も未成戦艦ノルマンディー級の主砲を転用したものであった。
イタリアが参戦したのが1915年、参戦してから38センチ列車砲の設計を始めて1917年には配備されたというからかなりの突貫工事だったことになる。

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こちらは完成試作品を塗装したもの。木製模型だろうがカードモデルだろうが「塗って初めて完成」という考え方もある(ヨーロッパのモデラーに多い気がする)が、E.Crespi氏もそういうスタイルなのかもしれない。
車体中央部部分に6本横に並んでいるセコイヤチョコ状のものは安定性を増すための丸太で、発射時には片側6基づつのジャッキでこれを地面に押し付ける。

38センチ列車砲は重量212トン、もちろん自走能力はなく機関車に牽引される。通常はさらに砲弾32発づつ積んだ貨車2両、75ミリ対空砲2門を積んだ自衛用台車1両、それと砲員を乗せる客車が連結される。左右の射界はゼロなのでカーブした軌道を準備して方向を決めた。砲身の仰角は最大25度で、875キロの砲弾を24キロ放り投げる。もっと仰角を取ればもっと飛びそうな気がするが、あまり仰角を取ると発砲時に後退した砲尾が地面にぶつかってしまうためこれぐらいが限界(ちなみに駐退機は砲身の上下に2本づつの計4本)。なお、装填時には砲身を水平まで戻さなければならないので発射速度は5分に1発程度であった。

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塗装後の完成品、大迫力のクローズアップ。
砲尾の屋根には切り欠きがあるが、明り取りだろうか。だったら屋根つけなきゃいいのに。

38センチ列車砲の詳しい戦歴ははっきりしない。1917年に全部で4門が整備されたらしいが、この数字は"FAA DI BRUNO"の項に書かれている「7門」とは合致しない。あるいは陸軍は4門を整備し、もう3門を予備砲身として受領したのかもしれない。
完成した列車砲は"FAA DI BRUNO"と同じくイソンゾ(イタリア語では「イゾンツォ」)の戦いに投入されたようだが、やっぱりあまり効果はなかったようだ。終戦後、38センチ列車砲は全て解体され砲は沿岸砲台に転用されたというから、やはり即製の列車砲化でいろいろと問題があったのだろうか。

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キットの裏表紙。巨大な砲尾のディティールが素晴らしい。同様に公開されているMAZ-537G重トレーラーにも注目。

E63papermodel からリリースされている第一次大戦イタリア軍唯一の列車砲、Cannone da 381/40 su affusto ferroviarioはタミヤスケール35分の1でも完成全長70センチという大迫力のキット。難易度表示はないが、堂々5段階評価の「5」(とても難しい)で間違いないだろう。
そして、重要なことだが、このキット無料である。このクオリティが無料とはなんという太っ腹! これは列車砲ファンのモデラーとしては、絶対に見逃すことのできない一品であると言えるだろう。Enrico Crespi氏には、このまま勢いで第一次大戦のイタリア軍移動砲架搭載型30.5センチ砲なんかもキット化してもらいたいものである。


画像はE63papermodelからの引用。


*キットはE63papermodelのDownloadのタブからダウンロードできますが、データの置いてあるファイル共有サイトは(これそのものは別に違法ではないが)操作を誤ると独自のダウンロードツールをインストールしようとしたりしてそれなりのリスクがあるため、あくまでもダウンロードは自己の責任においてお願いいたします。また、ダウンロードはフリーですが作者は著作権を放棄していません。データは個人での利用のみが認められており、販売などはできません。



参考ページ:
https://it.wikipedia.org/wiki/381/40_AVS


おまけ。
冒頭のAH-1とは別の時に撮ったCH-47。低空で飛んでるとここまではっきり撮れる。ビバ24倍。
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