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マイナーアイテム列伝 ポーランド大西洋航路客船「BATORY」

えー、またも新カテゴリです。新カテゴリばっかり増えていくね、このブログは。
カードモデルはしょっちゅう、良くわからんマイナーアイテムが堂々とキット化されているのは当ブログにお越しの皆様なら周知のことと思います。
なかなか新製品が出ないことでおなじみのポーランドMALY MODELARZ社から、前回9月のBf110 C-1から2ヶ月ぶりの11月に新商品が出たんですが、あまりにマイナーなアイテムで紹介しようかどうしようか思ってるうちに12月になってしまいました。
で、これを無視すると、たぶんもう3ヶ月はMALY MODELARZから新製品は出ないんで、それを待ってるのはあんまりでしょう、第一、三ヵ月後に出るのが紹介しやすい内容とも限らないし、というわけで手をつけてみました。
まぁ、調べるって言ってもWikipediaを読んだだけなんですけどこれがなかなかおもしろい船で、新商品紹介の中に押し込められる内容ではなかったので、今回はキットの題材となっているアイテムそのものの紹介をするために新カテゴリを作ってしまった、というわけです。
題材となるのはMALY MODELARZ2008年夏号、ポーランド大西洋航路客船、MS「BATORY」です。

Batory.jpg

まず基本的な部分から。BATORYは1936年にニューヨーク航路に就航したポーランドの客船で全長約160m、排水量約1万4千トンというかなり大きなものでした。名前のBATORYは16世紀のポーランド王、ステファン・バートリにちなみます。
戦前のポーランドって、海に面していたっけ? と思ったら、グディニャという港がありました。この港は第1次大戦後にロシア帝国から独立したポーランドに戦勝国が帝政ドイツを分割する時に「ポーランド君にも海への出口をあげよう」と言い出したものの、東プロイセン最大の良港であるダンチヒ港をポーランド領とするのはいくらなんでもひどい、と思い直してダンチヒはドイツ・ポーランド共同管理の自由市となり、かわりにポーランドに割譲されたのが小さい小さい漁村、グディニャでした。ポーランドはふざけるな!と、怒りをこの漁村の開発にぶつけ、1930年代には肝心のダンチヒを追い抜く勢いの良港となっていました。(詳しくはこちら、「世界飛び地領土研究会」へジャンプ!)
で、そのグディニアとニューヨークをつなぐ大型客船が、イタリアはトリエステの造船所で建造されたこのBATORYでした。パッとしない漁村を20年で大型客船が入れる港まで拡大する、というのもなかなか凄い話だ。

このまま、平穏にニューヨーク航路を走っていれば、グディニャ開発のアイコンとしてポーランド人が記憶している以外には全く知られていない平凡な客船で終わったのですが、時代がそんなことは許さなかった。
1939年9月、ドイツ軍がポーランドに侵攻、第二次世界大戦が始まります。
BATORYはすぐさま海軍に徴用されたものの、なにもしないうちにドイツ戦車軍団の「電撃戦」によってポーランド首都ワルシャワは陥落、ポーランドは降伏します。
トボトボとイギリスへ脱出したBATORYは連合軍海軍に組み込まれ、輸送船及び病院船として運用されることとなります。
ここから、BATORYの俊足を生かした冒険が始まります。
1940年、イギリスはドイツ軍のスカンジナビア侵攻に対抗するために兵力をノルウェーへ派遣、このために兵士を運んだBATORYは帰ってくるなりフランス、ダンケルク海岸に追い詰められた英仏将兵救出のためにドイツ軍急降下爆撃機の飛び交う危険な英仏海峡へ突入、多数の英仏兵をイギリスへと脱出させることに成功。さらに英国本土航空戦が激化しドイツ軍の侵攻の危機が高まった6月、BATORYはイギリスの金の備蓄、実に4千万ポンド(重さじゃないよ)をカナダまで輸送。戻ってきたら今度は8月にはイギリスの子供700人を疎開させるためにオーストラリアへ。
その後は日本軍の侵攻に備えインドへ兵力を輸送、さらに1942年アルジェリア、43年シシリー、44年南フランスへの上陸作戦に参加。
当然、この間幾たびと空と海からの枢軸軍の危険な攻撃に晒されたBATORYでしたが、幸運にも致命傷を負うことはありませんでした。
1945年、第二次世界大戦の終結と共にポーランドに帰ったBATORYは再び客船となります。
1971年、ついに老朽化したBATORYは香港で解体されましたが、後を継いだのはTSS「Stefan BATORY」でした。

なお、BATORYにはPILSUDSKIという姉妹船がありましたが、こちらはBATORYほど幸運ではなく、1939年11月、イギリス沖で沈没しました。原因は不明ですが、ドイツ軍の機雷に触れたものと推測されています。

この輝かしい経歴を誇るポーランド大西洋航路客船「BATORY」、作りたくなった方はMALY MODELARZ2008年夏号を今すぐゲット! スケールは300分の1、定価は22ポーランドズロチ(約700円、安い!)。キット内容は組み立てた写真がネット上になかったのでよくわかりません。でも、MALY MODELARZの300分の1艦船はけっこう細かいので「MALY MODELARZだから」と、なめてかかると痛い目に合いそう。
また、BATORYはJSC社からも400分の1でリリースされていますが、客船時代のキットは古くてもう手に入らないかも。1943年のシシリー上陸をテーマにしたジオラマキットに入っているBATORYは戦時塗装になっているそうです。

写真はGPM社サイトからの引用。

また文字ばっかりになっちゃった。
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