Model-KOM ソビエト試作戦闘機 Su-15(1) ・前編

コーヒー(ベトナム製インスタント)を飲もうと思ってお湯を沸かしたものの、沸く前にすでに入れていたのを忘れて沸いてからも必要量のインスタントコーヒーをカップに放り込んで濃度倍のコーヒーを作ってしまい、数口は我慢して飲んだものの結局は別のカップに半分移してから薄めて連続二杯飲んだ筆者がお送りする世界のカードモデル最新情報。
本日紹介するのはポーランドModel-KOMの新製品、ソビエト試作戦闘機 Su-15(1) だ。

okladka-norm_201702121554455ae.jpg

デルタ翼の超音速迎撃機かと思った? 残念! 試作止まりのネタ戦闘機でした!

前回「次は”文化科学宮殿”なんてどうよ?」と書いておいて全然違うものが出てきたのは、さっき見に行ったら文化科学宮殿をリリースしたポーランドGPMの公式ページが「サーバーがみつかりません」になっていたからだ。ちなみに成果物の提出は期日に間に合いました。

以前、Su-9(初代)の紹介をした時にも話に出たが、今でこそSu-27”フランカー”で不動の地位を築いているスホーイ設計局だが、なぜかスターリンに嫌われていた上に作る飛行機作る飛行機、なんだか薄ら寝ぼけたスタイリングで性能もあんまりパッとしなかったために一旦解散させられている。その際にSu-17まで進んでいた機体番号がなぜか中途半端にSu-7まで巻き戻されたために、Su-7、9、11、15、17は解散前、再建後で同じ番号の二代の機体が存在する(Su-13は解散前の「初代」しかない)。キット名の"(1)"というのはこの「初代」を指しているのだと思われるが、他ではあまり見ない表記(ロシア語の資料では「Су-15 «П»(Su-15«P»)」)だ。

時は1940年代終盤。終戦直後にMig-9Yak-15Su-9と、立て続けにガッカリジェット機を開発したソビエト航空界だったが、ここにきて大きな壁にぶち当たっていた。すなわち、単発戦闘機ではエンジンの出力が足りない、かと言って双発(主翼吊り下げ)では空気抵抗が大きくて思うように速度が出ない、という問題である。
少しぐらい径が太くなっても大出力のジェットエンジンが作れれば、それを単発で胴体に埋め込めばなんとかなる。あるいは出力が今のままでも径が細くできれば胴体後部に並列で埋め込むこともできる。だが、エンジンの性能向上がすぐには望めないならば、どうすればいいのか。
この難問に果敢に立ち向かったのが、前作Su-9が性能はそこそこだったのになんとなく不採用になったスホーイ設計局だ。

スターリン:「私が『高速迎撃機がほしい、でも適当な径の高出力エンジンがありません』と言いますので、うまいこと切り替えしてください」
スホーイ:「はいっ!」
スターリン:「はい、スホーイさん。『高速迎撃機がほしい、でも適当な径の高出力エンジンがありません』」
スホーイ:「それならエンジンを前後に並べます」
会場:「ハラショー!」
スターリン:「こいつはいいや! 山田くん、スホーイさんに試作機開発許可を与えてあげて!」

エンジン1基分の断面積ににエンジン2基を積む、これを実現させるためにスホーイが提案したのがジェットエンジン2基をタンデムに前後2基、胴体内に積むという斬新なアイデアだった。
いやいや、レシプロエンジン2基を前後につないで1本のシャフトを回す、ってんならわかる。ジェットエンジン2基タンデムって、前のエンジンの排気(ジェット)と後ろのエンジンの吸気はどうなんのよ?
スホーイの提案した設計は、機体前のインテイクを左右に二分割、片方は前エンジンに直結し、もう片方はダクトを通じて後ろのエンジンに吸気。前のエンジン斜めに傾け、気体真ん中らへんに排気ノズルが出るというものだった。
ぶっちゃけ、何言ってるかよくわかんないと思うので公式ページの完成見本写真でその特異なスタイリングを見てみよう。
上の大喜利のくだり、良く考えたら全然必要なかった。

1_20170212155449618.jpg

なんだかプロペラつけんのを忘れたレシプロ機みたいなスタイリングだが、尾翼の後ろと両脚の間に排気ノズルがある。機首のスピナーみたいなものはレーダーアンテナを入れる予定のレドーム(実装したかは不明)。
Su-9が不採用になった理由として、「仇敵ドイツ人が作ったMe-262にパッと見が似てるのをスターリンが嫌がったから」という理不尽な噂がささやかれており、これならどんなドイツ機にも似てないだろうコンチクショウ! というスホーイの心の叫びが形になったとも言えるかも知れない。武装は機首下面両脇に37ミリ砲(装弾数1門当たり111発)を装備しているが、量産型ではもう一丁増設するつもりだったらしい。でもどこに装備するのかはよくわからない。

6_20170212155450e58.jpg

細かいリベット打ちのテクスチャも美しい。
ひっくり返すとお腹の排気ノズルが良く分かるが、この後ろにもうひとつエンジンが入るので、なんか大事なことを忘れたかのように胴体が後ろにダラダラと長いことにも要注目だ。
主脚のためにエンジンギリギリまで胴体切り欠いているのは細く薄い主翼のこれ以上外側に脚をつけられなかったのだろうが、結論から言うとやっぱりヤバかったようだ。

9_20170212155447238.jpg 8_20170212155451169.jpg

キットはせっかくのオモシロ機構がわかるように、後部胴体を外して後ろのエンジンを露出させることも可能という嬉しい設計。
こうやって見るとなんだか尻が重そうに見えるが重心計算は大丈夫なんだろう。
画像ではわかりにくいが、胴体右側に後部エンジンのためのダクトが入っているせいでコクピットは胴体左側にオフセットされている。
あまり自信はないのだが、タンデムジェットエンジン機ってのは他にないんじゃないだろうか。

1949年1月11日、完成した試作第一号機が初飛行。斬新過ぎるレイアウトの割にSu-15はちゃんと飛んだ。
前部エンジンの推力線が下向きなのが幸いしたのか離着陸距離が極めて短い(離陸450メートル、着陸600メートル)、上昇性能が良好(5000メートルまで2分半)などの利点もあったが、問題もあった。
まず、操作用の油圧系が貧弱でダイブブレーキの展開がなんだかやたらノロかった。これでは急降下に入ってからブレーキを開いても間に合わない。また(これは高速を目指した機体が大抵ぶつかる問題だが)、低速で補助翼の効きが悪かった。
しかし、これらは大した問題ではない。最も致命的な問題だったのが、時速800キロを越えたあたり(計画値での最高時速1000キロ)から機体が異常な振動を始めることだった。

(後編に続く)

参考ページ:
https://ru.wikipedia.org/wiki/Су-15_(1949)
http://prototypes.free.fr/t6/t6-1e.htm
(三面図、内部図解有り)
スポンサーサイト

テーマ : 模型・プラモデル・フィギュア製作日記
ジャンル : 趣味・実用

コメントの投稿

非公開コメント

展開図公開中
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

のとっちょ

Author:のとっちょ
カードモデル初心者が苦闘するさまをご覧あれ。

検索フォーム
リンク(順不同、敬称略)
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード