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DrafModel ドイツ帝国 潜水艦 UB-16・中編

今年は確定申告の提出締め切りが一ヶ月延長さたのをいいことに、いまさら書類作成を行っている筆者のお送りする世界のカードモデル最新情報。ポーランドDrafModelの新製品、ドイツ帝国 潜水艦 UB-16の続き。

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前回、さらっとスルーしてしまったがこの艦首の「目」のペイントは実際にも描かれていた。

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Wikioediaからの引用で、1915年に撮影されたUB-I 型潜水艦、UB-2とUB-16。どっちがどっちなのかは記載がない。撮影場所などは不明だが、ベルギー沿岸だろう。
よく見ると昇降舵の感じや開口部の形状など、けっこう差異がある。これはUB-2がゲルマニア造船所製、UB-16がAG ヴェーザー製なためではないかと思うが、あまり自信はない。「目」のペイントも2隻でタッチがけっこう異なっているが、どちらもなんだかうつろな目つきでちょっと怖い。
また、人物との対比で非常に小柄な船体であることもよくわかる。

ドイツ帝国がベルギー沿岸防衛のために急いで調達した小型潜水艦UB-I 型は、急かされたのと、小型で手間がそれほどかからないため、最初の1隻の建造は11月1日に始まり、1915年1月22日に完成している。そんなポッコンポッコンできちゃうもんなのか、潜水艦って。
ちょっと意外なのは、よく第一次大戦の勃発時には誰もがこの戦争が長期戦になることを予想しておらず「クリスマスには帰れる」という見通しであったと言われるが、ドイツ帝国が開戦直後に、就航が少なくとも年を跨ぐ新型潜水艦を設計、建造していたというのはなかなか興味深い。それとも、終戦後もUB-I 型潜水艦を沿岸防衛に引き続き使うつもりだったんだろうか。

15隻が発注されたUB-I 型潜水艦だったが、完成直後にUB-1とUB-15が、戦争始まってから「うわっ……うちの海軍力、弱すぎ……?」と衝撃を受けたオーストリア=ハンガリー帝国に売却される。同じ造船所の船を渡したほうがなにかと面倒が少ないと思うのに、なんで最初の1隻と最後の1隻、別の造船所の船を売るんだろう。
2隻をオーストリア=ハンガリーに売却したため、ドイツ帝国はこれを穴埋めするためにUB-16、UB-17の2隻を追加発注、さらにオーストリア=ハンガリーが「潜水艦もっと欲しいっす」と言い出したのでもう3隻を追加。UB-I 型潜水艦は合計で15+2+3の20隻が建造された(理由は不明だが、追加分は全てAG ヴェーザーで建造)。

1915年春から、順次到着したUB-I 型潜水艦でドイツ帝国フランダース潜水艦隊(Flanders U-boat flotillas)が編成され、行動を開始する(UB-2のみ、鉄道輸送ではなく自力航海でベルギー沖に到着しているが、この小型船体でベルギーまで行くのは大変だっただろう)。
なお、UB-3、UB-7、UB-8、UB-14の4隻はオスマン=トルコ帝国を支援するコンスタンティノープル艦隊(Constantinople Flotilla)の所属となり地中海へ輸送された。これら4隻はイタリア参戦後、イタリアがオーストリア=ハンガリーにだけ宣戦布告してドイツ帝国に宣戦しなかったので、合法的にイタリア艦を攻撃するためにオーストリア=ハンガリー海軍旗を揚げて運用されたそうだが、それって戦時国際法的にどうなんだろう。
ただし、UB-3はイタリアで組み立てられた後、コンスタンティノープルに向かう航海中に行方不明となったので、実際にンスタンティノープル艦隊で行動したUB-I 型潜水艦は3隻である。このうち、UB-8は1916年5月にブルガリア海軍に移籍している。
このUB-8はブルガリア海軍が初めて保有した潜水艦となるのだが、なぜか艦名は「Подводник №18」(潜水艦18号)だった。1~17号はどうなった。

さて、実際に運用を開始してみると、UB-I 型潜水艦は小さすぎたし、性能も不足していた。
エンジンはなんとたったの60馬力ディーゼルで、最高速度はわずか6.5ノットだった。水中速力ではない。浮上して6.5ノットしか出せないのである。ちなみに水中速力は最大5.5ノットだった。この速度では目標が逃げ出したら、まず追いつけない。
そして、待ち伏せをしようにもバッテリーが貧弱で、1時間程度の潜航が限度であった(最大深度は約50メートル。また、急速潜航には約30秒を要した)。
また、単一シャフトと単一スクリューという構造は、ちょっと海底でスクリューを引っかけただけでただちに行動不能となる恐れがあった。

武装は45センチC/06魚雷の発射管2本が艦首に内蔵されていたが、排水量140トンの船体から重さ770キロの魚雷を発射すると、それだけでトリムが狂った。
一応、魚雷を発射すると自動的にタンク注水してトリムを調整する機構も備えられていたのだが、これは滅多にまともに動作せず、大抵は艦首が水面に飛び出すか、逆に突然頭が下がって艦が沈み始めて乗員が大慌てするはめになった。たとえば、1915年6月10日にUB-15(14日付けでオーストリア=ハンガリー帝国に移管する前)がイタリアの潜水艦メデューサを魚雷で撃沈した際、魚雷発射で軽くなった艦首が浮かび始めたのを沈めるために自動注水が始まったものの、これが止まんなくって、今度は艦首が下に向き始めたので乗員総員で艦尾に走っていって釣り合いを取ったそうである。

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これもWikipediaからの引用で、1915年に撮影されたUB-14。冗談のように狭い艦橋の様子がよくわかる。舵輪を握る水兵の向かって右後ろにいる人物、相当小柄に見えるが、この身長で徴兵合格するんだろうか。それとも腰を屈めるなどしており、錯覚で小さく見えるだけか。他の人物と格好も異なっているので、もしかするとマドロス帽を被った民間人と一緒に記念写真でも撮っているのかもしれない。なお、UB-I 型潜水艦の乗員定数はたったの14名だった。

UB-I 型潜水艦は大抵の潜水艦ならあるデッキガンもなくて、武装は魚雷発射管2本の他には重機関銃1丁しかないという弱武装だった(ブルガリア海軍は機銃を47ミリ砲に換装していた)。
なお、この機関銃について、資料には「8ミリ機関銃」と書かれているのだが、ドイツ軍には8ミリという機関銃はたぶんない。ドイツ帝国軍の代表的重機関銃、MG08の口径は7.92ミリなので、これを「だいたい8ミリ」ということで8ミリ機関銃としているのか、あるいはオーストリア=ハンガリー軍が装備していたシュワルツローゼ重機関銃が口径8ミリなので、オーストリア=ハンガリーに移籍したUB-I 型潜水艦がシュワルツローゼに機銃を換装しているのが混同されたのかもしれない。
(後編へ続く)

表紙画像はDrafModel公式ショップページから引用


参考ページは後編にまとめて掲載予定。
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