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WAK ドイツ空軍計画戦闘機 ハインケル P.1078C

土曜の昼に治療した奥歯が割と本気で痛む筆者のお送りする世界の最新カードモデル情報。
今回の記事は前回記事に含めようとしたら、どうしようもなくとっ散らかって収集つかなくなったんで分離したもの。

前回最後の方で触れたように、1945年初頭にドイツ空軍はさらに高性能化するアメリカ軍重爆撃を撃墜できるぐらい高性能で簡単に作れて新兵でも操縦できる牛丼みたいな戦闘機を調達する『第1回 ドイツ空軍!! チキチキ B-29を撃墜できる高性能緊急戦闘機大募集』(略して『緊急戦闘機計画 45』)を開催する。なお、計画の名称は44年の「緊急戦闘機計画」(He 162"ザラマンダー"が採用された)と区別するために筆者が暫定的に付けた呼称であり、一般的なものではない。

この「緊急戦闘機計画 45」にははっきりしているだけでもブローム・ウント・フォス、ハインケル、ユンカース、メッサーシュミット、フォッケウルフの5社が応募しており、無茶な要求に応えるためにそれぞれ雲の彼方へ突き抜けた感じのデザインを提出してる。
この中で、ブローム・ウント・フォスの案、P 212は前回の記事内で紹介しているが、もう一つハインケル案のP 1078Cが昨年末にポーランドWAK社よりリリースされているので紹介しよう。

wak1911.jpg

やったぜ、P-80シューティングスターを撃墜! という活躍想像図の表紙。
He 162で44年の緊急戦闘機グランプリを獲得をしたハインケルだったが、45年計画には「ズーパー・ザラマンダー」ではなく、全くの新規案での募集となった。
残念ながら完成見本写真はないので、組み立て説明書でP 1078Cのおおまかな形状を把握しよう。

wak1911i2.jpg wak1911i1.jpg

表紙絵では角度の都合で2段後退翼にも見えるが、実際の翼の形は平面形が一直線で外翼に強い下半角がつけられており、この外翼をもって無尾翼機で不足する水平安定性を確保しようという意図だと思われる。ジェット機はプロペラを地上にぶつける恐れがないので地上クリアランスを短くできるという利点があるのだが、それにしても地上姿勢で尻が地面に近すぎやしないか、これ。ヘタなパイロットが引き起こしをミスったら、すぐに尻か翼端を地面に擦りそうだ。

wak1911c1.jpg wak1911c2.jpg

展開図見本。テクスチャは軽い汚しの入ったタイプ。もともとの形状が単純なこともあり、あまり細かい部品もなく作りやすそうな展開図だ。でもスキンがピッタリ合わなかった時に備えて、ノリシロにも色塗って欲しかったな。
当然試作もされていない機体なのでマーキング類は全て架空のものだが、機種の盾形のマーキングは蚤(ノミ)が尻から煙を吹き出して飛んでいる意匠で、黒い部分に”Wie ein Floh Aber Oho!”(ノミっぽいけど、なんと!)と書かれている。
これは史実でロケット戦闘機Me 163を装備していた第400戦闘隊(Jagdgeschwader 400)第1中隊の部隊マーキングなので、この中隊がハインケル P 1078を受領して機種転換したという設定なのだろう。

なおハインケルP 1078"C"という名称だが、これはAが試作型、Bが先行量産型ってわけではなくて、ハインケル社内で緊急戦闘機計画45に向けて設計案を検討した時の3案の中でこのスタイルが3番目だったよ、という程度の意味である。
せっかくなので他2案についても紹介しておくと、まずは通常形式のP 1078A。

800px-HE_P-1078.jpg

Wikipediaからの引用(この項、以下の画像全て同じ)で、シュパイアー技術博物館収蔵品のP 1078A模型。
なんというか、「ふーん」という感じで特に感想の沸かないデザインである。これ、外翼の下半角は必要なんだろうか。
ジェット単発機共通の問題、「尻が燃える」が解決できてるように見えないし、なんだか「作ってみました」という感じで、社内でもいまいちと感じたのか空軍提出前に没となった。

それに対して、思い切って振り切ってしまったのがP 1078B。

ModellPhoto_HeP1078B.png

どうやら(Wikiopediaへの)投稿者自身のスクラッチ作品らしいP 1078Bの模型。
左右非対称+無尾翼というとってもアバンギャルドな機体でリヒャルト・フォークト博士へのリスペクトを感じさせる。
機内から見て左側の胴体にコクピット、右側の胴体に機銃が入っていて、エンジンはその間に位置する。この発想はなかったわ。だがこれ、どういう利点があるんだろう。
よく考えたら操縦席から右側の視界がないじゃないか、ということに気がついてボツ。

ハインケルは残ったP 1078Cを提出してみたものの、Wikipediaによると「設計対象に厳しい批判を受けた」(詳細不明:筆者)ためにP 1078はボツとなって終わった。

ついでに残りのメーカーの案を紹介しておくと、

800px-BV_P-194_pic2.jpg

ユンカース案のEF 128は無尾翼機だが、水平安定性のために垂直尾翼がぶっ刺してある。

800px-Me_P_1110.jpg

なぜか手書きのメッサーシュミット案P 1110は、一見、V字尾翼以外はまともに見せておいてコクピットの後ろに胴体全周に渡るエアインテイクがあるというこれまた意図のよくわからないデザイン(高速化のためにインテイクの出っ張りを最小化したかったらしい)。急旋回して負荷かけたらそこからポッキリいきそうだ。

Ta_183_Modell.jpg

最後のフォッケウルフ案Ta 183は尾翼を高い位置に上げることで排熱の問題をクリアしている。なんだ、こうすりゃ良かったんじゃないか。ただし、このレイアウトだと仰角かけた時の失速特性が悪化するそうなので、その対策は別に必要だっただろう、とのこと。

最終的にドイツ空軍はTa 183が最も優れている、という見たまんまな結論に達し、緊急戦闘機計画 45の勝者として試作を命じた(なので、他の機体はプロジェクト番号だが、"Ta 183"だけは制式番号である)が1機も完成しないうちに戦争が終わった。
緊急戦闘機計画 45の案はどの機体もエンジンが胴体埋め込みだが、もう整備性なんか無視しないとB-29の撃墜はおぼつかないということなのだろう。
結局、B-29を余裕で撃墜するにはMiG-15の登場を待たなければならなかった。

WAKからリリースされたドイツ空軍計画戦闘機 ハインケル P.1078Cは空モノ標準スケール33分の1で完成全幅約28センチという小柄な機体。難易度は5段階評価の2(易しい)、定価は18ズロチ(約600円)とお手軽設定となっている。
ドイツ架空機ファンのモデラーなら、MODELIKのBv P 210、OrlikのBv P 208も一緒に揃え、机上で1946年ドイツ防空戦闘隊を結成するのもおもしろいだろう。

キットの写真はWAK社ショップサイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。



参考ページ:
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハインケル_P.1078
また、デルタ出版社の書籍「ミリタリー エアクラフト」誌1995年11月 ドイツ空軍計画機特集号も参考とさせていただいた。
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