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GPM ドイツ 自走高射砲 VOMAG 8,8 cm Selbstfahrlafette・後編

少し前に舌を噛んだところが口内炎になってしまい、2週間ほども痛くて難儀していたのだが市販の塗り薬を試したら2日ぐらいでスッキリ治ってご機嫌な筆者のお送りする世界の最新カードモデル情報。口内炎がひどい時にはまず塗り薬、それでも改善しなかったらすみやかに口腔科の受診をオススメします。
今日はポーランドの老舗、GPM社の新キット、ドイツ 自走高射砲 VOMAG 8,8 cm Selbstfahrlafette の後編。

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前回はレース織り機を作ってたVOMAG社が第一次大戦で自動車を作るようになり、大戦後はバスを作るようになったところまで。
1923年、VOMAGが長い長ーいバス専用シャーシを開発し、さぁ長い長い長ーいバスを作るぞ! と意気込んだちょうどそのタイミングでドイツはハイパーインフレに突入する。
どれぐらいハイパーだったかと言うと、1922年の年末に160マルクで買えたパンが1923年の年末には200,000,000,000マルクに値上がりしていたという。えーと、この数字なんて読むんだ? 一、十、百、千……2千億マルクか。1250万パーセントの値上げ。日本で言えば、1本10円のヤオキンのうまい棒が来年の今頃は1本1億2千5百万円になっているようなもんだ。こりゃたまらん。
* 2月26日訂正 1250万パーセントじゃなくて1250億パーセントで、うまい棒は1本125億円でした。ハイパーすぎて計算ボロボロ。
VOMAGはこのハイパーインフレをなんとか生き延びたものの、今度は1929年にウォール街で株価が大暴落。さすがにこれには耐えきれずに1932年に事実上経営破綻した。

このハイパーインフレと大恐慌に業を煮やしたドイツ国民は国家社会主義労働者党、いわゆるナチスに未来を託し1933年1月にヒトラー内閣が成立し、来たるべき大戦争に向けての準備が始まる。
宿命的に東西2つの戦線を持つ可能性から逃れられないドイツではアウトバーンを使って大型バスで高速で部隊を輸送するという計画が立てられ、そのための車両として大型バスで定評のあったVOMAGが選ばれ会社が再建された。
甦ったVOMAGは20年代に生産していた150馬力エンジンを積んだロングボディバスのエンジンを160馬力に強化した「VOMAG 7 OR 660」バスを完成させる。型番の意味するところはよくわからなかった。

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Wikipediaからの引用で1957年の絵葉書。左側にVOMAG製のベラボウに車体の長いバスが写っている。
明記はされていないが、たぶん7 OR 660ではないかと思われる。車体も長いがボンネットも長い。よく57年まで生き残ったもんだ。

さぁ、今度こそバスをどんどん作るぞ! とVOMAGは意気込んだものの、今度は7 OR 660を数十輛作ったところで第二次大戦が勃発。いざ戦争が始まってみるとバスで部隊をあっちへ動かしたりこっちへ動かしたりする場面なんてなくて、やっぱり部隊移動は鉄道がメインだった。
そうは言っても、せっかく再建したVOMAGを遊ばせておくような余裕はないんで、大型車輌の生産設備のあるVOMAGはFAMOの下請けでSd.Kfz. 9、いわゆる18トンハーフトラックの生産を開始する。
これと並行して、せっかくだから7 OR 660のスーパーロングボディもなんか戦争に直接使えるような改造できない? ということで7 OR 660のシャーシに88ミリ砲を載せた車両が試作された。
1942年、完成した約20輛(正確な数ははっきりしない)のVOMAG自走砲高射砲はドレスデンの第42高射砲連隊第1大隊に配備された。

それでは、もしかするとトレーラー類を別とすれば第二次大戦でもっとも長い装輪軍用車輌だったかもしれないVOMAG自走砲高射砲の姿をGPM公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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うーん長い。この長い車体でアウトリガーを踏ん張り作業用プラットフォームを展開した姿はまさに迫力満点。これまでビッグスケールでキット化されなかったのが不思議なぐらいだ。
ボンネット部分がバス車体のままでグリルデザインとか手が込んでるのに、車体はなんだかやっつけ仕事でペロンと単純なカタチをしている対比もおもしろい。

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車体後部は砲弾収納庫となっており、キャラバンを作らなくても自分で砲弾が輸送できるのはさすがバス由来の長ロングボディ。後部デッキ上には移動時に砲身の動揺を抑えるためのトラベリングロックが見えるので、このように砲身を後ろに回しているのが定位置のようだ。
88ミリ砲のディティールにも注目。

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エンジンと運転席周りの詳細ディティール。運転席はメーター類が塗りのせいで、なんというか、その、ベチョっとした感じになってしまっているので、ここはテクスチャ印刷を生かしてシャープに仕上げたい。エンジンもケーブル類を追加すると、ぐっとリアリティが増すだろう。扉の内側に乗員自衛用のライフルラックがあるのもおもしろい。

12トンハーフトラックをベースにした自走高射砲、「8.8cm Flak 18 auf Zugkraftwagen 12t」が敵のトーチカや重戦車潰しのために作られたのと違い、防盾や車体装甲が全くないことでわかるようにVOMAG自走砲高射砲は完全に対空戦闘のことしか考えられておらず、もともとは総統本営が移動するのに随伴して、敵機が飛んできたら20輛が本営の周りでドッカンドッカン88ミリ砲弾を打ち上げて弾幕を張る、という運営が考えられていたようだが、作ってみたら総統本営ってそんなにホイホイ移動するようなもんでもなかった。
1943年ごろからは米英連合軍重爆隊の都市爆撃が激しくなったきたが、いくら自走化して機動力があるって言ったって、VOMAG自走砲高射砲が時速500キロで飛来する重爆撃機編隊と並走しながら88ミリ砲を打ちまくって全機撃墜! とかできるはずもなく、よく考えたら拠点で待ち構えているのなら別に普通の88ミリ砲みたいにリンバーつけて8トンハーフで引っ張ればいいのであった。

結局、ウロウロしてるだけで特に戦果のないVOMAG自走砲高射砲部隊は1944年、押し寄せるソビエト軍をなんとかできればいいな、とルーマニアに送られたが、もちろんなんとかできるはずもなく、一部の車両はハンガリーまで下がったようだがそこで包囲され全車が撃破された。

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Wikipediaからの引用で戦後にブダペストで撮影された残骸。奥にももう一門、同型の車両があるようだ。写真の車輌は防盾を装備しているが、ソビエト地上軍と戦うために追加されたのだろうか。また、砲の前に座席がない(防盾と干渉するために撤去されたのかもしれない)などの差異もあるが、なにぶん状態が悪すぎて細かいことはわからない。

自走砲高射砲を20輛作った後、VOMAGにはいくら待ってもそれ以上の追加発注もバスの発注もこないので1943年10月からは戦車開発及び生産にも着手、4号駆逐戦車を約1700輛生産したところで戦争が終わった。
戦後、VOMAG所在地プラウエンは東ドイツ領となり、どんどん戦車作るぞーと建て増しした工場も爆破された。
その後は民生用の機械を作る工場となり、数度の改名を経て現在は「WEMA VOGTLAND Technology GmbH 」の名前で「GLOBAL RETOOL GROUP」という企業グループの一員となっている。


GPMからリリースされるVOMAG 8,8 cm Selbstfahrlafetteは前編で既述の通り、完成全長なんと48センチというビッグキット。もちろんA3版でのリリース。難易度は3段階評価の「3」(難しい)。
そして定価だが、現在このキットはまだリリース予告中(キット番号では37/2018と2018年中の発売となっている)で定価は未定だ。この手のビッグキット好きなモデラーにとっては発売の待ち遠しい一品となりそうだ。

最後に関連商品として、ポーランドのブランド、WEKTORから、こちらもリリース予告中となっている新製品について触れておこう。
WEKTORからリリースが予告されているのはドイツ 自走高射砲「VOMAG+Flak18」だ。

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同じじゃねーか!

キット及び表紙画像はそれぞれGPM社、WEKTOR公式サイトからの引用。



*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

参考ページ:

https://de.wikipedia.org/wiki/Vogtländische_Maschinenfabrik
さすがのWikipediaもこの車輌についてはページなし。

http://www.roden.eu/HTML/727.htm
http://www.roden.eu/HTML/729.htm
プラモデルメーカーRODENの商品紹介ページ。RODENはVOMAG自走砲高射砲と7 OR 660バスの両方を72分の1スケールでリリースしている。

http://www.kfzderwehrmacht.de/Homepage_english/Motor_Vehicles/Germany/VOMAG/VOMAG_8-8cm_Spg/vomag_8-8cm_spg.html
ドイツ軍ソフトスキン車輌について非常に詳しい「kfz der wehrmacht」内のページ。ドイツ軍のソフトスキン車輌のことなら、大抵はここで見当をつけられる。

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