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MODELIK ポーランド ディーゼル機関車 S200・その5

毎年体重が赤信号で怒られている健康診断、去年は「大変順調に体重が減っています。この調子でがんばりましょう」と言われたのだが、実は社内親睦会で食べたレバーにあたって腸炎を起こし健康診断直前まで一週間体内がノンストップ直通運転でトイレに籠もってました、とは言えなかった筆者のお送りする世界のカードモデル最新情報。本日もポーランドの名門MODELIK社の新製品、ポーランド ディーゼル機関車 S200の紹介。

S200 okladka

前回は共産圏の入れ替え用ディーゼル機関車の決定場、チェコスロバキア スコダ社製のT669(ソビエト名称「ЧМЭ3」)が登場したところまでだったが、年を跨いで続いたソビエト連邦ディーゼル機関車史なんていう、まぁどうでもいいような連載もいよいよ今回で最終回だ。

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Wikipediaからの引用で(この項、表紙写真以外全て同様)記念すべきソビエトが購入した一号車”ЧМЭ3-001”で1991年に引退した車両。後の生産型とは細かい点で差異があるそうだが、パッと見ほとんど差異はわからない。

ЧМЭ3はなにしろ共産圏随一の品質で知られるチェコ工業界が仕上げた製品だけあって性能はゴキゲン、信頼性はバツグン、と思わず韻を踏んでしまうほどの高性能だったもんだから共産圏外も含めて問い合わせは多く、スコダはアルバニア(61輛)、インド(12輛)、イラク(100輛) 、シリア(25輛)およびポーランドにЧМЭ3をどんどん輸出した。
もちろん、チェコスロバキアが自分で使っちゃいけない理由はないんでチェコでも採用されていたが、なぜかチェコ国内でもT669はソビエト名称のЧМЭ3の名称で使用されていた。ちなみにチェコではキリル文字ЧМЭ3のラテン文字表記である「ČME3」からの連想で、「マルハナバチ(čmelák)」の愛称で呼ばれているそうだ。
なお、ソビエト以外の国々は線路幅がロシア広軌ではなくヨーロッパ標準軌だったので、スコダではわざわざ標準軌に修正したЧМЭ3が生産されていた。この標準軌ЧМЭ3、ソビエト名称に変更はなかったようだが同じ名前で軌間の違う機関車生産してたら絶対に間違えるんで、スコダではヨーロッパ標準軌車両を「T669.0」、ロシア広軌車両は「T669.5」と区別していた。

そんなわけで大ベストセラーとなったЧМЭ3の生産は1994年まで続き、最終的にに7459輛が生産された(7853輛とする資料もある)。
なお、あんまりバンバンЧМЭ3が売れるんでチェコではスコダ工場とは別に、SMZ (Strojárske a metalurgické závody) 工場でも347輛を製造しているが、これらライセンス生産車両は海外に輸出されずにチェコ国内で使用されたようだ。この347を前記の7459に足すと7806で異説の7853輛に近い数字になるが、チェコ語版Wikipediaでは「7853+347が生産数。これはディーゼル機関車の単一車種生産数としては世界最大」と書いてあるのでどこかでなにか取り違えがあったようだ。

なにしろ大量に建造されたЧМЭ3は現在でも多数が現役だが、やはり50年前の設計の機関車をそのまま使い続けるのはいろいろとしんどい。そのため各所を改装している車両も多いが、チェコのCZ LOKO社ではЧМЭ3に徹底的な近代化改修を行っている。

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CZ LOKOでの改修を受けてカッチリとした今風のスタイルになったЧМЭ3。ベラルーシのミンスクで撮影された車両。
この改修ではЧМЭ3のボディと運転台、ディーゼルエンジン、発電機、伝達系が交換されている。いや、それもうЧМЭ3の車台使った他の機関車じゃないか、と思うのだがこの改修型ЧМЭ3はウクライナで「ЧМЭ3П」、リトアニアで「ЧМЭ3МЕ」、ラトビアで「ЧМЭ3М」という名前で運用されており、あくまでもЧМЭ3のバリエーションという扱いらしい。

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こちらはフィンランドのオウルで撮影されたЧМЭ3近代型(これもCZ LOKO製)。こちらは「Dr18」の名前で呼ばれている。フィンランドはオリジナルのЧМЭ3を購入してないので、どこかの国の中古車両を改装したもの(おそらくチェコで使用されていた車両)を購入したようだ。
ちなみにフィンランド国鉄はロシア広軌1520ミリよりほんのちょっと広い1524ミリという謎の軌間を採用しているが、これはもともとロシア広軌だったのを戦後に微妙に修正したものらしい。フィンランド的にはソビエト軍の鉄道車両がフィンランド国鉄を利用できないようにしたかったのかもしれないが、実際には1520と1524は誤差程度なので軌間変更を行わずに相互交通できる車両も多いようだ。

これら王道の近代改修とは別に、変わったところとしては2003年にロシアでЧМЭ3-179とЧМЭ3-602がバッテリー機関車ЛАМ (локомотив аккумуляторный маневровый)に改造されている。
これはディーゼルエンジンを降ろして、代わりにニッケル・カドミウム蓄電池をドーンと積んだもので充電した電力だけで走るという大胆なものだった。

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モスクワで撮影されたЛАМ-1(もとЧМЭ3-179)。見た目は意外と変わっていない。
電化していなくても電気で走れる斬新な機関車にも思えるЛАМだが、改修が2輛で終わったということは、まぁそういうことなんだろう。
他にはウクライナで数輛のЧМЭ3がパンタグラフ付きに改造されたようだが、これは意図がよくわからない。

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ドニエプロペトロフスクで撮影されたЧМЭ3-1265。電化、非電化が混在してる区間で使うようなのだろうか。ちなみにこのパンタグラフは着氷を落とせるように振動機能があるそうだ。

最後にЧМЭ3の後継車両について書いておくと、1985年にスコダ社は ソビエトからの指示でさらに強力なЧМЭ5を開発している。
ЧМЭ5はЧМЭ3の出力1350馬力に対して出力2000馬力を発揮する予定で、もちろんその分車体も大きくなり、長さ約20メートル(ЧМЭ3:17メートル)、重量168トン(ЧМЭ3:123トン)という巨人機関車だった。ついでに居住性まで改善して、運転室には冷蔵庫やお湯が出るシンクまであったという。
比較用に旧国鉄のDD51形ディーゼル機関車(649輛生産)の数値を上げておくと、DD51は出力1000馬力、長さ18メートル、重量84トンだから、狭軌と広軌の差はあるにしてもやっぱり入れ替え用機関車に2000馬力はオーバースペックだと思う。

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烏山山あげ祭号を牽引するDD51。2006年撮影。「カラス・ヤマヤマ・アゲマツリ号」って変な名前だな、と思ったら「カラスヤマ・ヤマアゲマツリ号」だそうだ。

ЧМЭ5が2000馬力がを達成したことに気を良くしたソビエトは「2000馬力機関車を2000年までに2000輛生産しよう!」と気前よくぶち上げたが、数年後にはソビエトもチェコスロバキアもなくなった。

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ドネツクの鉄道博物館に保存されているЧМЭ5-0008。ЧМЭ3に比べると、カッチリとした平面で構成されているようだ。
ЧМЭ5は12輛が生産されたが、このドネツクの車両が唯一の現存車両である。車両番号が「0008」と4桁になっているのが、本気で2000輛生産するつもりだったんだな、と思われてなんとも切ない。

入れ替え用ディーゼル機関車の決定番、スコダ社製ЧМЭ3のポーランド国鉄型S200のキットは陸モノ標準スケール25分の1で完成全長69センチの堂々たるサイズ。難易度は書いてないが5段階評価の「4」(難しい)以上といったところか。定価は120ポーランドズロチ(約4千円)で、100ズロチ(約3300円)の レーザーカット済厚紙セットが同時発売となる。このオプションパーツは滑り止めパターンなども彫刻されており当キットを本格スケールモデルとして仕上げるのなら見逃せないオプションとなっている。
当キットはソビエト入れ替えディーゼル機関車ファンのモデラーにとっては、まさに待望の一品と言うことができるだろう。MODELIKにはこの勢いでЧМЭ5とか改修型ЧМЭ3とかもどんどんリリースしてかつての勢いを取り戻してもらいたいものである。いや、やっぱりもっと戦車とか飛行機とか売れ筋のものをどんどんリリースしてもらいたいものである。

キット表紙画像はMODELIK社サイトからの引用。



*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

参考ページ:
https://ru.wikipedia.org/wiki/Тепловозостроение_в_СССР_и_России

https://ru.wikipedia.org/wiki/Тепловоз
ソビエトディーゼル機関車史

https://ru.wikipedia.org/wiki/ЧМЭ3
https://ru.wikipedia.org/wiki/ЧМЭ5
それぞれの項目のロシア語、チェコ語、英語ページを参考とした。

http://www.skd.cz/
スコダ財閥の鉄道車両部門、SKD Trade株式会社。スコダ系列には「ŠKODA TRANSPORTATION」という会社もあってそっちも鉄道車両を作っているのだが、どういう関係なんだか良くわからない。

http://locomotives.com.pl/Diesels/S200.htm
ポーランドの鉄道車両についての情報サイト、「STANDARD-GAUGE LOCOMOTIVES IN POLAND」内のS200のページ。ポーランドの鉄道車両について確認したいことがあれば、このサイトにくれば大抵のことはわかる。
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