GPM ポーランド軍魚雷船 OKSYWIE

日本はもうすぐカードモデラーには過ごしづらい季節、夏が訪れる。だが、こんな時こそ「おなか痛い」とか言ってないで元気よく、新作情報で湿気も乾く模型熱を高めていきたいものだ。
本日紹介するのはポーランドの老舗、GPM社からの新製品、ポーランド軍魚雷船 OKSYWIE だ。

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いや、うん……確かに魚雷発射管があるけどさ…………
一応最初に断っておくが、この船は決してグディニア港に押し寄せるドイツ艦隊にチャプチャプと肉薄していって魚雷を発射するためのものではない。
OKSYWIE(オクシヴィエ、グディニア港沿いの地名)はもともと1927年にダンチヒ造船所で建造された船で、発注主はポーランド政府。目的はグディニア港の港湾の渡し船で、カーフェリーとして使用できるように設計されていた。この時代に「カーフェリー」とは珍しい、と思ったが、「4台のトラック、あるいは数台の荷馬車を積めた」とあるので、どちらかといえば荷馬車の運搬がメインだったのかも知れない。
と、せっかくフォローを入れたのに1931年には早くもカーフェリーとしての運用は終了した。地図を見るとわかるが、グディニア港って2キロも内陸に入り込んでないんで、わざわざ港口をショートカットするためだけに船に積んだり降ろしたりするのはするのはどう考えても面倒なだけだと思う。

そんなわけであっという間にお役御免になったオクシヴィエは、廃船にするのももったいないので60トンタンクを据え付けて真水運搬船に改造されたが、「60トン」という数字は大きいようで運搬船の容量としてはあまりにも小さかった。なにしろ、エンジンが40馬力(60馬力とする資料もある)しかないんで最高速度がたったの4ノット(時速7キロ)で、これじゃあ給水トレーラー引いたトラックが何往復かした方が速い(ポーランド領に離島はない)。さらにそれに輪をかけて、後付のポンプの性能が低いもんだから積み込みにも積み下ろしにも時間がかかって、1933年には早くも2度めのお役御免と相成った。

とっても持て余されちゃった感のあふれるオクシヴィエだったが、捨てる神あれば拾う神有り、ポーランド海軍が「それ、いらないんだったらちょうだい」と言い出した。
ポーランド海軍では当時、魚雷発射管の国産化の研究を進めており、沖合で魚雷を発射してその行方を観測する船が必要だった。どうして既存の駆逐艦ではいけないのかは良くわからない。小回りの効く船が必要だったのか。
魚雷を準備するための作業スペースを増設したオクシヴィエは魚雷発射船として三度目の就航を果たしたが、肝心の魚雷発射管がまだ完成してなかったので半年ほどは魚雷発射管のない魚雷発射船だった。とほほん。
1935年4月、まちにまった国産魚雷発射管1号が完成。制作したのはなぜか蒸気機関車の製作所で、基本的には550ミリ魚雷用だったが英仏の魚雷も発射できるように533ミリ魚雷、450ミリ魚雷用のアダプターも準備されていたという。
やっと仕事が決まったオクシヴィエは魚雷をズドーンと撃って、その航跡をマストから眺めて、魚雷が力尽きたらチャプチャプとそれを拾いに行く、という毎日を繰り返した。まぁ、機関車屋が作った魚雷発射管だ、やっぱりいろいろと解決しなきゃいけない問題があったのだろう。

そして1939年9月、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まる。
いくら戦力不足のポーランド軍とはいえ、さすがに最高速度4ノットではドイツ軍の戦艦シュレスヴィヒ・ホルシュタインに決死の肉薄、まさかの魚雷攻撃! というわけにもいかない。
結局、9月6日はオクシヴィエは港湾封鎖のため、港口で自沈した。

それでは、魚雷を積んでるのに軍艦じゃない(「ORP(ポーランド共和国艦艇)」がつかない)不思議な船、オクシヴィエの姿を公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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今回も古写真風エフェクト付き。
一見、二枚とも艦尾からの写真に見えるが、よく見ると片方は魚雷発射管、もう片方は魚雷積み込み用のクレーンが手前にあることでわかるように別の向きの写真だ。オクシヴィエは狭い港湾で発着を容易とするために船底が前後で同じ形をしており、両方にスクリューと舵があった。その発想はなかったわ。シャフトと機関はどういう配置になってるんだ、これ。
今にも玉入れ競技が始まりそうなマストの観測台にも要注目だ。

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細部にクローズアップ。奥側のハシゴがひしゃげていたり、2本の煙突がどう見ても並行になっていなかったり、まぁ、いろいろと味のある作例だ。

とっても小さいポーランド軍魚雷船 OKSYWIEは小艦艇スケールの100分の1でも完成全長約27センチ。機銃とか全然積んでないので難易度も3段階評価の「2」。定価は40ポーランドズロチ(約1300円)となっている。
また、本体と同じ40ズロチでレーザーカット済みの芯材用厚紙、手すりなどの小ディティールパーツがセットとなったオプションセットも同時発売となる。

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芯材の写真はこの船のなんとも言えない形状が良く分かって面白い。

グディニア港口の渡し船で終わっていたら、おそらくキット化はされなかっただろうオクシヴィエは、なんと言うか、まぁ、こういう変わった船が好きなモデラーには見逃すことができない一品と言えるだろう。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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