SKLEJ MODEL ポーランド軍試作軽戦車 4TP

先週は微妙に本職が忙しくて、平日の更新をサボった筆者がお送りする東欧最新カードモデル事情。特に気の利いた言い訳もなく本日紹介するのはポーランドの新ブランド、SKLEJ MODELの記念すべき最初のキットであるポーランド軍試作軽戦車 4TPだ。

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表紙は一見、完成見本だがよく見るとCGだ。
4TP軽戦車については、以前に手持ちのマリモデのキットを紹介した時に解説したので説明は省くが、新規参入となるSKLEJ MODEL(直訳すると「接着模型」)が最初のキットとして、試作に終わった軽戦車をチョイスするというのはなかなかおもしろい。小さなキットからコツコツと積み上げていこう、ということか。ポーランド軍の試作軽戦車ぐらいだと「普通の車輌だな」と思ってしまうのは、相当にポーランドカードモデルの世界に毒されている証拠だ。

それでは、今回は公式サイトに豊富にアップされている完成見本写真の引用を見ながら、新規ブランドの実力は如何ばかりか拝見させていただくとしよう。

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完全に上から塗ってしまった上にフルディティールアップまでしちゃって、どこが完成見本なんだかわからない見本も多い中、切り離したフチさえタッチアップ処理をしていないのは、全く手を加えずにキットのまま組み立てた状態を見てもらおう、というころだろうか。
マリモデ版の完成品写真は嬉し恥ずかし、当サイトで以前に組み上げたものがあるのでそちらを参照していただくとして、両者を比べてみてまず気がつくのが、マリモデ版がいかにも試作車両らしい緑一色の塗装だったのに対して今回のSKLEJ MODEL版が迷彩されていることである。これは、4TPが実戦配備された時のことを想定してのカラーリングだろうか。これならマリモデの完成品と並べても「なんで同じのが並んでるの?」と聞かれずに済みそうだ。

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全体のスタイリングは、当然ながらマリモデ版とSKLEJ MODEL版に大差はない。しかし、良くみるとマリモデ版よりもこちらの方が各所でディティールが細かくなっていることがわかる。
4TPは砲塔上面が写った写真がどうやら存在しないようで、マリモデ版は「砲塔上面ハッチなど飾りです。エライ人にはそれがわからんのです」と言わんばかりに砲塔上面が一枚板だったが、SKLEJ MODEL版では妥当にハッチがつけられている。というか、砲塔天井ハッチがないってのは、いくらなんでもおかしいと思うぞ。
また、実車では装備されていなかったためにマリモデ版では押しボタンみたいな謎な形状だった砲塔ペリスコープも、操縦席天井のものと同型となっている。

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他にも、操縦席天井に操縦士の頭上に余裕を持たせるための膨らみがあったり、ライトが壺のような形になっていたり、といった細かいディティールが再現されているのに要注目だ。砲身はマリモデ版に比べてやたらと長いような気もするが、マリモデ版は砲身の短いソロータン自動砲、こちらは砲身の長いポーランド国産のFK-A自動砲を搭載しているという設定なのかもしれない。

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マリモデ版ではどうやって履帯のテンション調節するのか不明だったが、SKLEJ MODEL版ではビッカース6トン戦車系のアジャスターが駆動輪に組み込まれている(7TP戦車からの流用なのかもしれない)。これは何らかの資料に基づいているのか推測なのかはわからないが、妥当な解釈と言えるだろう。
転輪に放射状の線が入っているのは、おわん型の膨らみにするための釣鐘構造の線。マリモデ版では錐(すい)を張り合わせたソロバン珠型だった。
なお、写真の履帯は同時発売のレーザーカット済み履帯パーツを使用しているようだ。これならスプロケットと履帯のピッチが合わなくてコンチクショウ、となることもなさそうだ。

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さて、ぶっちゃけ、完成見本を見ただけでは新ブランドSKLEJ MODELの評価は「うーん、まぁ、良い感じかな」という程度に終わってしまうが、その真価は展開図、組み立て説明書に現れていると言ってもいいだろう。
テクスチャは汚しのないスッキリしたタイプだが、ノリシロを白抜きにせず淡く色をつけているのは近年のキットで見るようになってきた接着ミスのダメージを最小限にする嬉しい心遣いだ。
また、芯材パーツもペラペラの紙に細い線を引いただけではなく、淡いクリーム色に着彩されていることで切り抜きなんだか他のパーツのガイドなんだかわけわからない、という事を防いでいる。芯材の縁の斜めカットも斜線で示されており、目分量でなんとかしなくて良さそうだ。

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そして、必見なのがこの組立説明書。
CGによるステップ・バイ・ステップ方式だが、前のステップで組んだ部分をグレーで表示し、パーツごとに色を変えて表すなどかなり判りやすそうな表現はまるでプラモデルの組立説明書のようだ。

かゆい所に手が届く、気遣い満載のSKLEJ MODEL ポーランド軍試作軽戦車 4TPはスケールはもちろん陸モノ標準の25分の1。組み立て説明書を見るとけっこう細かい工作も必要に見えるが難易度は意外にも3段階評価の「2」(普通)。じゃあ、「3」はどんなキットになるんだ。そして定価は25ポーランドズロチ(約800円)と、お手軽価格となっている。
また、同時発売の純正オプションとして、作例でも使われているレーザーカット済み履帯が45ズロチ(約1500円)。さらに転輪用カット済み厚紙パーツが14ズロチ(約350円)、車体芯材用カット済み厚紙パーツが12ズロチ(約300円)と細かく別売りとなっているので手間と予算に合わせてオプションを選びたい。これも、「曲線は切るのが苦手」「厚紙は全部面倒」など、モデラー個々の事情に合わせて選べる嬉しい気遣いだ。
4TPの「マスターグレード」とも言うべき当キットは、試作軽戦車ファンのモデラーにとって、間違いなく見逃せない一品と言っていいだろう。

まるで「これからのカードモデルにはおもてなしの精神が必要だ」と宣言せんばかりのSKLEJ MODELの新製品。これまでのキットで不満だった部分をきれいにフォローしているそのさまは、東欧カードモデルがまた新しいステップを登った目印と言っても過言ではないだろう。
SKLEJ MODELの今後の商品展開、そしてこの良クオリティの組み立て説明書を見ての東欧カードモデル界の反応から、しばらくは目を離すことができなさそうだ。


画像はSKLEJ MODELサイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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