Orel ロシア帝国防護巡洋艦 Новик

筆者の怠慢により、まだ80番ぐらいまでしか紹介していないウクライナOrel社のラインナップだが、このたび100号がリリースとなった。本日は、このホットな製品をいち早く紹介しよう。記念すべき100番目のアイテムはロシア帝国防護巡洋艦 Новик だ。

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いや、だからさー。なんでそういうドマイナーなキットを100号なんて節目にぶつけてくるわけ? GPMのガガーリンもしばらく頭を抱えたけど、これもあんまりなチョイスじゃないか。
しかしまぁ、考えてみれば5周年記念キットがロシア帝国海軍装甲巡洋艦「Варяг」&砲艦「Кореец」 だったOrelらしいと言えば、確かにOrelらしい。
ちなみにこれまでのOrelの表紙は全体に色(ブルーグレー系が多かったが、黄色だったりオレンジだったりもする。色の根拠はワカラン)がついていたのだが、100号からは白地にバナーっぽくキット名が入るようになったようだ。

「防護巡洋艦」というのはなんだか船団護衛でもする巡洋艦のようだが、それまでの巡洋艦が非装甲であったのに対し、19世紀末に登場した装甲で「防護」されている巡洋艦を区別するための種別である。「装甲」で防護された巡洋艦なら、「装甲巡洋艦」なんじゃね? という意見もあるだろうが、装甲巡洋艦は船体の大部分を装甲で覆っていたのに対し、防護巡洋艦はもっと軽装で、砲の防盾以外には装甲は機関などの主要部分の上に装甲天井(考えようによっては装甲甲板)がある程度だった。従って、装甲巡洋艦は戦闘力を、防護巡洋艦は速力、航海力を重視した艦種といえるだろう。これらは後に重巡洋艦、軽巡洋艦へと発展していく。
「Новик(Nowik、「ノーヴィク」、「ノヴィーク」とも)」は1900年に完成した艦で、艦体がスラリと細長く、特に速力の大きな艦であった。なお、「Новик」とは、近世のロシアで貴族などのまだ若い子弟を指す言葉であった。日本語で言うと、「若様」か。防護巡洋艦「若様」ってのも、どうかしてる感じだが、「新人」「新鋭」みたいな意味を持たせているのだろうか。
ノーヴィクは日露戦争開戦時、旅順艦隊に所属していた。高速を生かし、日本艦隊への肉薄を果たしたこともあるが特に戦果を上げてはいない。旅順艦隊が脱出を試みた黄海海戦にも参加しているが、主力艦隊が日本艦隊の迎撃を受け旅順へ押し返される中、ノーヴィクは単身快速を生かして太平洋へ迂回、ウラジオストックへの遁走を試みる。
ノーヴィクは日本海軍の防護巡洋艦「千歳」「対馬」の追撃を受けるが、快速でこれを振り切って樺太(サハリン)へ到達。ここで石炭の補給を受けるが、運悪く日本軍輸送船に発見されてしまった。連絡を受けて急行した「千歳」「対馬」の砲撃を受けノーヴィックは上部建造物に10発以上、喫水線下に3発の命中弾を浴び、総員退艦の後に座礁、擱座した(日本側の資料では戦闘開始前に乗員はノーヴィックを放棄しており、日本艦はそれと気づかずにカラの艦に対して砲撃を行ったとしていることもある)。
日露戦争後、日本軍はノーヴィックを回収、修理の後に通報艦「鈴谷」として艦隊に加えたが、1913年には早くも除籍となり、屑鉄として売却された。これは「仇」である日本軍の「千歳」(1928年除籍)、「対馬」(1939年)に比べて随分と早いが、
まぁ外国艦だから色々と扱いにくかったんだろうな、

そんな、特徴的だが地味なノーヴィックの姿を、公式フォーラムから拾ってきた完成見本写真でさっそく見てみよう。

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写真が遠いよん。おかげで、「ウクライナのデザイナーもカッティングマットはOLFAなんだな」とか、「モニターがSAMSUNGだ」とかどうでもいいことばかり気になってしまう。ちなみに艦の左側に置いてある資料本は、ロシア/ソビエト艦の資料本を多数出版しているガングート出版の本。ここのラインナップはロシア/ソビエト海軍ファンなら座り小便漏らしてバカになっちゃいそうな壮絶なもの。ガングート出版は2010年には以前にOrelがリリースした巡洋艦キーロフの準姉妹艦、「モロトフ」のカードモデルもリリースしたが、詳細な情報がないので紹介しようがない。公式フォーラムのスレッドが「ツシマ(日本海海戦)について」という1スレッドしかなかったり、いろいろと凄い出版社だ。

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まぁ、細かいディティールはよくわかんないから、高速艦らしいスラリとした船体、これで体当たりしたら艦がぶっ壊れそうな衝角などを見ておこう。白い上部建造物に黄色い煙突という、軍艦らしからぬ塗装も目を引くが、たぶんこれは平時の塗装。座礁直後の写真では船体はもっと暗く写っている。なお、「鈴谷」時代には煙突が2本になっているなど艦形に差異があるので、塗りなおしただけで「鈴谷でーす」と言うのは無理がありそうだ。

もう、これはこれでOrelらしくていいや、という気にもなってきたOrel社の100番記念キット、ロシア帝国防護巡洋艦 Новикはスケール200分の1で完成全長約50センチ強というスラリと長いキットだ。でも、Wikipediaで見ると「鈴谷」の方が「Новик」より3メートルも全長が短いのはどうなってんの? 難易度は3段階評価の「3」(難しい)、定価は115ウクライナフリブニャ(約1300円)となっている。
100号を超え、いよいよワケのワカラン艦の増えてきたOrel。これまでマイナーであった前ド級艦、そして同様にマイナーであったロシア/ソビエト海軍という「混ぜるな、危険!」としか言いようのない二つの要素を満たしたこの路線でどこまで突っ走るのか、これからもOrelからは目を離すことができなさそうだ。



画像はOrel社サイト公式フォーラムからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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